企業規模によっても生涯年収が違う
生涯年収は、企業規模が大きくなるほど高くなる傾向にあります。例えば、男性で大学・大学院卒の場合、企業規模が1,000人以上の大企業では3億1,000万円、企業規模が10~99人の中小企業では2億円と、1億円以上の差があります(60歳まで、退職金を含まない)。
その一方で、フルタイムの非正社員男性では、企業規模1,000人以上で1億7,000万円、10~99人の企業規模で1億4,000万円と、企業の規模による生涯年収額の差が、正社員の場合と比べて少ないことが特徴です。
いずれにせよ、企業規模の大きな職場のほうが、多くの賃金を得られることが統計としても表れています。新卒から定年まで正社員として同じ企業で働き続ける場合は、その傾向がより顕著になっています。
生涯年収を増やすには退職金と定年後再雇用制度を活用する
当然のことながら退職金を含めるかどうかで、生涯年収が異なります。ここまで見てきた生涯年収は退職金を含まず、なおかつ60歳まで働いた場合の金額でした。退職金を受け取った上で、定年後再雇用制度を利用して引退可能な年齢まで働き続けた男性の生涯年収は次の通りです。
正社員で60歳まで働き、退職金を得て定年後再雇用で非正社員となった男性
・中学卒2億4,000万円
・高校卒2億5,000万円
・高専・短大卒2億6,000万円
・大学・大学院卒3億3,000万円
退職金を受け取らず60歳で引退する男性の生涯年収と比べると、大学・大学院卒では6,000万円、それ以外では4,000万円多いという結果になっています。
さらに企業規模別では、大学・大学院卒の場合、10~99人規模の企業では2億6,000万円であるのに対して、1,000人以上の規模の企業では 3億7,000万円と、学歴が同じでも企業の規模によってかなりの差があります。
退職金制度の恩恵に浴し定年後再雇用制度を活用すると、生涯年収も数千万円単位で増えるということが分かりました。
生涯年収が最も多くなるのは、大企業で定年後も働き続ける男性
統計上の推計からわかったことは、トータルで最も生涯年収が多いのは、大学・大学院を卒業し新卒で従業員が1,000人以上の大企業へ就職し、そこで定年を迎えて退職金を受け取り、さらに同じ企業に再雇用されて引退可能な年齢まで働き続ける男性でした。
長い職業人生の中で、こうした条件がすべてそろうとは限らないのが現実ですが、「大企業で定年後も引き続き働き続ける男性ビジネスパーソン」が最も多くの生涯年収を得ているだろうという結果になっています。
一生涯で「必要なお金」と「稼げるお金」のバランスを考えよう
賃金の統計調査から推計した生涯年収を見ると、高い学歴で大企業に新卒入社して転職せずに働くのが最も得をするのではないか、あるいは、それ以外の職業人生は損をしているのではないかと思ってしまうかもしれません。
また、性別や学歴、雇用形態による生涯年収の格差に不満を感じる人も中にはいるでしょう。しかし、個々人が一生涯で稼げる金額が違うのと同じく、ライフプランによって一生涯に必要なお金も異なるはずです。
例えば、東京と地方では家賃などの生活コストも異なるため、住む場所によっても必要な生活費は変動します。ほかにもパートナーや子どもの有無、マイホームの計画など、それぞれが経験するライフイベントによってまとまった費用の必要性も異なってくるでしょう。また、これらのライフイベントに関する価値観や人生観なども人それぞれです。
それぞれのライフイベントに必要な金額を調べたり、自分自身がかなえたい夢を明確にしたりするなど、ライフプランを立てることと、自分が得られる生涯年収とのバランスを取ることが理想的ではないでしょうか。
もちろん計画通りに人生が進んで行くとは限りませんが、世の中の人の多くは、目標とするライフプランが長い職業人生を続けるためのモチベーションの1つになっているとも言えます。
金融庁や各種金融機関などでは、個人のライフプランとその実現のためのお金を計算できる「ライフプランシミュレーター」をインターネットで公開しています。こうしたシステムを活用して、お金と人生のバランスを考えてみるのもいいでしょう。夢をかなえて充実した人生を送るために、お金の計画も上手に立ててください。
提供・UpU
【こちらの記事も読まれています】
>思わず共感する40代独身女性あるある
>100均グッズで宅飲みをワンランクアップ
>生活費月100万円超「ご近所セレブ」の実態
>旅行のお土産、いくらが適切?
>あぁ、癒やされる。飼いやすいペット5選