開業するきっかけは、“子供たちの笑顔”
渡辺:現在、開業して自宅で仕事をされているとのことですが、そういったスタイルをとるようになったきっかけはなんだったのでしょう?
脇田:数年前までは、自分で開業するということを全く視野に入れていませんでした。税理士は、元々独立するまでに実務経験を2年以上積まなければいけないのですが、転職のタイミングで久々に家にいる時間があったんですよ。その頃、長男は中学生、次男も既に小学生になっていたので、ある程度大きくなったから大丈夫だと思っていたのですが……やはり自分が家にいると嬉しそうに見えました。それまでは事務所や会社に勤めていたので、これからは子どもと触れ合う時間を増やしたいと思うようになって、開業届を出し自宅で仕事をすることにしました。
渡辺:開業にあたって大変だったことはありますか?
脇田:はじめの頃はお客様が全然いなかったですね。けれど、開業したと知った友人からご紹介いただいたりして少しずつお客様が増えていきました。やはり、繋がりは大切だと実感しましたね。開業して1年目はほとんど利益が出ませんでしたが、2年目には売り上げが正社員の頃の給料を上回りました。
渡辺:やはり、縁によって仕事が広がっていくのですね。自宅で開業するにあたって資金はどれぐらいかかりましたか?
脇田:自宅で仕事をしているので、ほとんど経費がかかりません。新しいパソコンとデュアル画面に使う用のモニター、会計ソフトなどで20万円くらい、税理士会費が年間20万円ぐらい。合計でも3~40万円くらいでしょうか。
渡辺:自宅に事務所を構える場合は、それほど資金がなくても開業しやすいということですね?
脇田:そうですね。税理士になるまでに実務経験を2年以上積むと思うので、その期間に貯金をしておけば、独立開業しやすいと思います。
子育てと仕事の両立の秘訣は?
渡辺:子育てと仕事の両立の秘訣を教えてください。
脇田:家族に理解をしてもらうことです! 自分が前向きに楽しみながら仕事に取り組んでいるので、みんな応援してくれます。一生懸命やることが大事。自分がやっていることを、なんとなく家族に話してみることが大切だと思います。 そういったコミュニケーションを密にとることで仕事に対しての理解が深まります。全ての内容を把握してもらうわけではありませんが、どんな仕事をしているかといった情報は共有しています。
渡辺:そういえば……私は学生の頃、帰宅したら毎日のように「学校でこんなことを勉強した」「友達とこんな会話をした」と家族に話していました。何気ない会話でしたが、そこから近況を把握することができたと思います。それに似たような雰囲気ですか?
脇田:そうですね! まさにそんな感じです!
執筆の仕事もしています!
渡辺:脇田さんは、記事執筆もされているんですよね!
脇田:そうなんですよ! 2017年頃から一気にオファーが来るようになりました。税理士業務とは別に、私の場合は税金の話を一般の人にわかりやすく面白く興味を持ってもらえるようにと、ブログや連載の執筆もしています。税金の話はもちろん、なぜ税理士になったか、どうやって税理士になったのか、そのようなことも書いています。
2018年11月現在、連載を4本抱えています。まず、『会計人コース』という月刊誌。こちらは税理士や会計士を目指す人が読んでいる雑誌です。現在1年間『ゆるっと 開業DIARY』という連載をしています。
次に『KaikeiZine』というメディアで1年半以上、「税理士になるまでのこと」「税理士がやっていること」「税理士になってからの日々」を書いています。
あとは、某会社に所属している人向けに税金の話や確定申告の仕方などを2018年2月から月2本のペースで書いています。
さらに最近『HUPRO』というメディアで連載がはじまりました。
渡辺:すごい! 連載を4本も抱えていらっしゃるのですね!もはや売れっ子ライターじゃないですか。
脇田:もう、締め切りが……いつも大変です(笑)
2015年には『ダンゼン得する 知りたいことがパッとわかる 青色申告と経費・仕訳・節税がよくわかる本 』という書籍を出しました。出版に関しては、執筆し終わったあとの、発売されるまでの時間が一番怖かったです。「どういう反応が来るのか」と考えると、ずっと恐かったですね。嬉しかったのは、実名で活動をしているので、メディアに取り上げられたときに高校の同級生が久しぶりに連絡をしてくれたこと! 出版記念パーティーにもたくさんの知人、友人が駆け付けてくださいました。
渡辺:実名で活動していると大変なことも多いですが、私も今まで出会った人たちから「さきちゃんの記事、読んだよ!」「変わらず元気そうな姿を見ることができてよかった!」と連絡が来るのが本当にうれしいです。これからも知人、友人に会うたびいい報告がたくさんできるように頑張りたいです。
脇田弥輝さんの著書『ダンゼン得する 知りたいことがパッとわかる 青色申告と経費・仕訳・節税がよくわかる本』
ダンゼン得する 知りたいことがパッとわかる 青色申告と経費・仕訳・節税がよくわかる本
私をきっかけに税金に興味を持っていただけたらうれしい
渡辺:税理士試験に合格し、実務経験を積んで開業された脇田さん。今後の目標についてはいかがでしょうか?
脇田:お客さまを増やすというよりは、自分を選んでくださったお客様と長くいい関係を築いていきたいと思っています。
そして、これからは執筆の仕事やメディアへの露出を増やしていきたい! 一般の方にも税金の知識を持っていただくきっかけになれればうれしいと思っています。「脇田さんが話すなら聞いてみようかな」と興味を持っていただけるような人間になりたい。税理士でテレビに出ている人は少ないので、取り上げていただける機会が増えるように頑張っていきたいです!
今度テレビ埼玉に出演することになったのですが、地上波のテレビに出るのがずっと夢だったので、とても楽しみです。私は埼玉県出身なので、どれくらいの反響があるか、同級生に気付いてもらえるか(笑)。生放送なので緊張していますが、頑張ります!
インタビューを終えて…
出産後、一から勉強して税理士の資格試験に合格。そこからさらに、実務経験を積んで開業したことまで……脇田さんの貴重な体験談を伺うことができました。
結婚や出産をきっかけにキャリアを諦める女性も多いですが、脇田さんのように出産後、新しいことに挑戦してみるという選択肢もあります。努力次第では難関な資格をパスすることのできると実証してくださった脇田さんのお話は、聞いているだけで前向きな気持ちになれました!
そして、仕事をバリバリこなすだけではなく、家族との時間やコミュニケーションを大切にされていて、まさに両立がこなす素晴らしい女性だなと感銘を受けました。子どもと過ごせる時間が限られているなか、その成長過程を間近で見れるというメリットを考えると、自宅を職場にするというのもひとつの選択肢だと思いました。今回の脇田さんのお話は、将来の働き方に悩んでいる方の大きなヒントになったのではないでしょうか?
「All our dreams can come true if we have the courage to pursue them.(夢を追いかける勇気こそが,夢を叶える。)」
子育てをしながら、自分のやりたいことに向かってまっすぐ進んだ脇田さん。
続ける勇気を持つことは簡単なことではありませんが、「やり抜く力」を身に付けることは今後の人生の財産になってくるはずです。既に苦労をされてきたから、執筆やTV出演など新しい仕事のオファーがきても、戸惑うことなく楽しみながら取り組むことができるのかもしれませんね!
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