俳優デビューは14歳。父・窪塚洋介の関係性から豊田利晃監督に『泣き虫しょったんの奇跡』(2018年)のオーディションに誘われたことがきっかけ。同作で主演した松田龍平の少年時代を演じ、将棋に打ち込む役柄と比例する熱心な眼差しが、父同様に映画的俳優としての存在感を本能的に体現できる才能と感性を示した。

 順当に出演作を重ねる窪塚愛流が、『御上先生』でさらに提示する存在の危うさ、不安定さは、乱暴な引用だけれど、窪塚洋介の鮮烈な初主演映画である名作『GO』の系譜にあると指摘してみたくなる。窪塚洋介が躍動させた剥き出しの痛快な暴力性が、『御上先生』の窪塚愛流にも同様に認められると言いたいわけではない。

 そうではなく、彼は彼なりのポテンシャルを感じさせながら、平成初期に父が体現した映画の熱量を令和的なクールでまとめあげ、見る者の心をぐらぐらさせて、扇動することが面白いのだ。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】

コラムニスト / アジア映画配給・宣伝プロデューサー / クラシック音楽監修「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu