その神崎を何かと茶化しているのか、どうなのか、風変わりなキャラクター設定でクラス内を活気付けているのが、次元賢太である。演じるのは、窪塚愛流。ネット上では、窪塚演じる次元がもっともキャラ立ちしていると話題だ。

 彼が次元役に込める軽妙さ、浮き足立つ身体、ふわふわふわふわした存在感。プログラミングで並外れた才覚を持ち、妙に明るい次元賢太というキャラクター性のどこをどうつかみ、理解して役作りしているのだろうか?

◆綱渡りするかのような窪塚愛流

『窪塚愛流 1st写真集 Lila』(小学館)
『窪塚愛流 1st写真集 Lila』(小学館)
 基本的に教室の廊下側の席から中央後ろに座る神崎を見て、くすくすふわふわ笑っている。クラスのムードメーカーというわけでも、ステレオタイプなお調子者キャラというわけでもない。

 どこか生々しい表情が印象的な道化師という感じ。極めて曖昧な雰囲気。存在自体が不安定に見える次元役に対して窪塚は、綱渡りでもするかのようにキャラ立ちさせる。教室の外、校内の廊下にたたずむと、やたら脚長な全身が目立つ。

 モデルでもある窪塚は、自らのビジュアルからそのフォルムを取り出して、輪郭自体を際立たせているような独特なたたずまいがある。内面的にも外面的にも他とは違う。

 同話では、御上にやり込められた神崎にピースした右手をあげて、助っ人したいと申し出る。実にチャーミング。役柄と演じる本人の特性が不思議と調合された、ほんとうに謎にキャラ立ちした魅力の人である。

◆父・窪塚洋介が躍動した名作映画

『GO』(TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D))
『GO』(TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D))
 ドラマ初出演は『ネメシス』(日本テレビ、2021年)でのゲスト出演だった。オレオレ詐欺に加担する青年を演じ、第2話でバイクに乗って後ろを振り返る表情が、役柄とあいまって危うげな存在感をぐらぐらさせていた。『顔に泥を塗る』(テレビ朝日、2024年)では、メイクに興味はあるが、自分の属性的に手が出ないと決め込むピュアな男子像を薄化粧のような透明感で演じた。