窪塚愛流は、見る者の心をぐらぐらさせる。毎週日曜日よる9時から放送されている『御上先生』(TBS)では、軽妙にふわふわした不安定な存在感が、さらにぐらぐらさせる。

男性俳優の演技を独自視点で分析するコラムニスト・加賀谷健が、独特な存在感をまとい、本作でもっともキャラ立ちしていると話題の窪塚愛流を解説する。
◆キャスティング面でも意欲的な目算

第2話で御上は、副担任・是枝文香(吉岡里帆)相手に、バージョンアップではなく抜本的な見直しを説く。「とある有名な学園ドラマの新シリーズが始まるたびに、日本中の学校が荒れて、学級崩壊を起こす」と引き合いに出される過去の名作ドラマの功罪、その是非はさておき、本作が単なる精神的、道徳的な理想論の学園ドラマではないことが端的に示される。
学園ドラマには、これからブレイク候補になるポテンシャルがある若手俳優がこぞって顔を揃えるものだが、本作にはキャスティング面でも意欲的な目算が、はっきりと確認できる。
◆もっともキャラ立ちしていると話題
御上が担任になった3年2組で当初から挑戦的な態度をとる要注意人物である神崎拓斗を演じる奥平大兼は、主演映画『君は放課後インソムニア』(2023年)や菅田将暉が黒沢清監督とタッグを組んだ『Cloud クラウド』(2024年)などですでにあざやかな名演を印象付けている。