初対面の人とあいさつを交わしただけで、顔がすごく赤面する。いつも誰かに監視されている気がする。対人関係で恐怖や不安を感じるなら、それは対人恐怖症かもしれません。日本人に多いとされる対人恐怖症の原因や症状、そして克服方法や治し方、患者との接し方を解説します。
対人恐怖症とは?原因と症状は?治し方はあるの?
発言を求められると、途端に頭が真っ白になって、言葉が出てこなくなる。笑おうとしても顔がひきつって、ぎこちない表情になってしまう。
現代社会で対人恐怖症と診断されることは、決して珍しいことではなくなりました。ですが、対人恐怖症の原因がわからず、日々その症状や克服に苦しんでいる人がいます。
対人恐怖症になるはっきりした原因はわかっておらず、いくつかの要因が絡み合って発症すると言われています。
今回、対人恐怖症の原因として考えられることや症状についてお話するとともに、治し方や対人恐怖症患者との接し方について触れていきます。
心理的に原因あり?対人恐怖症の原因1
【持って生まれた性格や遺伝】
対人恐怖症は別名「社会不安障害」とも呼ばれており、いずれも発症しやすい人には共通の性格が見られます。俗に言う心配性や不安症がそうです。
生まれつき楽天的で、あっけらかんとした人が対人恐怖症を発症することは考えにくく、やはり不安や恐怖を感じやすい人、緊張しやすい人がなりやすいようです。
加えて、シャイであることや内気・内向的な性格は、特定の遺伝子と関連していることも研究結果として報告されています。
だからと言って、親が対人恐怖症だから子供も対人恐怖症になるというわけではありません。生まれ持った性格はあるにしろ、環境やまわりの大人の接し方で形成されていく性格要因の方が強いのです。
心理的に原因あり?対人恐怖症の原因2
【育った環境】
育った環境が性格や人格に与える影響は大きく、対人恐怖症を発症するか否かにも関わっています。特に恥の文化である日本の家庭では、発症率が高いとされています。
極端に世間の体裁を気にする親の元で育てられると、「恥をかくことはいけない」という心理が生まれ、人との接し方がわからなくなり、恐怖が芽生えます。
過保護な親に育てられると、失敗や挫折を知らないまま成長し、人とのコミュニケーション能力や対応能力が低下してしまいます。
親との接し方が、最も対人恐怖症の発症に関与していると考えられます。特に母親との関係は、父親以上に影響を与えることでしょう。
心理的に原因あり?対人恐怖症の原因3
【トラウマ】
生きていればもちろん誰しも失敗や挫折はありますが、失敗経験が克服できず、トラウマになってしまうことがあります。
そんな経験が強いトラウマとなって、人目を過剰に心配するようになったり、ちょっとしたことで心が挫けたりします。
いじめがいい例で、いじめられる原因がわからないままだと「他人は常に自分を痛めつけるだけ」という心理が根付いてしまい、心が開けなくなってしまいます。
対人恐怖症の発症歴が長ければ長いほど、克服するにもかなりの心理的根気や辛抱強さを求められます。
心理的に原因あり?対人恐怖症の原因4
【思春期など多感な時期】
対人恐怖症を発症するのは、圧倒的多数で10代が多いとされています。10代は心理的にも肉体的にも、いろいろ感じ入る時期であることが関係していると推測されています。
また、大人と子供の境目にいる10代は、まわりからもどう扱っていいかわからなくなることがあります。
自分の心の兼ね合いと、まわりとの折衝が、多感な10代の心理に影響を与えることもあるでしょう。引きこもりや不登校が出やすいのも思春期です。
もちろん10代の男女すべてが発症するわけではないですが、接し方に考慮すべき時期であることは確かなようです。
