三上博史は、刺激的でかぐわしい俳優である。その横顔。口元から顎のラインにかけて色っぽく微動する。眼光の鋭さまで、“色気の神経”が一直線でつながっているみたいだ。

今どうして三上博史が話題になるのか。男性俳優の演技を独自視点で分析するコラムニスト・加賀谷健が解説する。
◆ラストたった2カットで目が釘付け
東新宿署・国際捜査係の刑事・鴻田麻里(奈緒)と元刑事で警視庁・通訳センターに所属する有木野了(松田龍平)がバディとなって国際事件に挑む『東京サラダボウル』第6話が話題だ。
麻里と有木野それぞれに隠された過去が紐解かれるこの回は、放送時間の大半を回想場面に割いている。
回想と回想で現実の場面をサンドイッチする語り方は悪くはないのだけれど、ちょっと刺激がほしいなと思った。すると、刺激どころか、かなりスパイシーでスモーキーな新キャラをラストで登場させる。
現場から干されていたベテラン刑事・阿川博也(三上博史)が満を持して登場するのだ。
外国人の聴取で意図的な誤訳を行ったということだが、きっと問題だらけの人物なのだろう。夜の歌舞伎町を得意満面の表情で闊歩する阿川をカメラが引きの位置から捉える。
彼は上を向いて目をつむり、立ちどまる。目を開け、再び歩き出す。手持ちカメラが揺れる。ラストたった2カット、画面上手側ぎりぎりに位置する三上博史を見て目が釘付けになった。
◆今どうして三上博史が話題になるのか
三上演じる阿川の登場に対してX上が盛り上がった。「ほとんど見た目が変わってないように思う」など、興奮気味の感想ポストが散見された。昔とまったく変わらないカッコよさは、翌日のネットニュースにもなった。