そんな「岩津さん」が今回のロケで用意したのは、埼玉・西川口のふぐ割烹。その店の名物を紹介するのではなく、岩津氏が自ら考えたという「メニューの組み立て」を2人に楽しんでほしいのだという。
「千鳥に真正面からセンスで挑む いろはにスタッフ」とテロップされ、大悟は「岩津さんは1回、(博多)華丸さんと飲みに行かせてあげたい」と言う。吉本でも屈指の酒好きで知られる華丸の名前を出すことからも、大悟が岩津氏の食についてのこだわりを最大限に評価していることがわかる。
そんな岩津氏の「組み立て」は「ばい貝の煮物」→「たらの白子ポン酢」→「ふぐの唐揚げとふぐ刺し」→「新ぎんなん」→「えびと豆腐のあげ出汁」という5品。そのすべてを千鳥の2人が絶賛し、岩津氏は「ぎんなんを軸に組み立てた」と胸を張る。
『いろはに千鳥』は千鳥が何も準備せずにロケに参加し、スタッフ側が用意した企画に「乗る」というスタイルを取っている。今回も、単に7本収録の7本目にうまいものを食わせて喜ばせようというだけの企画だったはずだ。
だが、「ふぐ」が供されたときに、事件とも呼べる事態が起こる。
気を許し切った証
しばしふぐの唐揚げとふぐ刺しに舌鼓を打っていた2人だが、大悟がこんなことを言いだす。
「エンタメって、でも組み立てやもんな。お笑いも映画もドラマも」
そうつぶやくと大悟は一度座り直してから、翌月に控えた単独ライブ用の漫才の新ネタのネタ合わせを始めるのだ。
「雰囲気だけこんな感じの、いけるかどうかの、意外と誰もやってないやつ思いついてん」
ノブもその一言にテンションが上がり、思わず机を叩き出している。
「こういうときに出るから。これが後々、あの伝説の漫才の誕生の瞬間ですって」
あまりの大悟の本気ぶりに照れもあるのだろう、茶化しつつも「新ネタが生まれる」という興奮を隠そうとしない。
「わしらの漫才って、ホントにこんな感じで作るから。何も言わず」