「はい、でもまったく事実とは違います。実際のところ、一番大事にしていたのは、公正、公平なプロセス。公平になるように、外部からの余計な情報はシャットダウンしたうえで、代理人(ジョエル・ウルフ氏)と話し合いながら、一つ一つ球団を吟味していきました」

――最終候補に残ったのが、ドジャース、パドレス、ブルージェイズの3球団。パドレスのオーナー家ではお家騒動が訴訟沙汰になる中、佐々木選手はドジャースに決めた大きな理由を「フロントの安定感」と会見で語っていました。

「施設がどう、選手構成がどうなるなど、フロントが最終的にすべてを決めます。そもそも、自分のことを評価してくれているのが今のフロントやGMなので、そこがコロコロ変わってしまうようだと僕自身の存在価値も変わってしまう。だから、フロントの安定感が一番大事だと考えていました」

――大谷翔平選手、山本由伸選手がいることは重要な要素ではなかった?

「日本人選手がいる、いないは特に意識していませんでした。どんな選手であっても、移籍する可能性は常にゼロではないので。誰かがいるからそこを選ぶ、あるいは選ばない、という考え方は一切なかったです」

 優等生的答えだと思うが、では、佐々木の一番の問題である「球速が落ちてきた」ことにはどう答えているのか。

 一昨年は165キロを投げていたのに、昨季は162キロ、平均球速は3.1キロも落ちてきているのだ。

「僕の中で原因はこうだから、こうすれば良くなるという“解”がまとまってきたので、それに近いアプローチをしてくれる球団はあるかな、と」

 昨年のシーズン始めから「おかしい」と思っていたという。シーズンが始まってからも球速は上がらないので焦りを感じていたというのだ。

「ただ、シーズン中にフォームをいじるのは極めて難しい作業なので、細かなチャレンジはしつつも“これはオフにやり直さないといけないな”と思っていた。原因は、分かってみれば結構簡単なことなんです。僕は上半身に筋肉をつけるような筋トレはほぼやりません。下半身はやるんですが、特に昨季は、ウェイトの重量をあげて、下半身の筋力をアップさせた。その筋力の付け方が、今振り返れば間違っていた」