「たいしたもんやー、米田さーん」「今回もグッジョブ!」

 うるさ。黙れよ。おまえたちももう大っ嫌い。

インスリンは悪なのかという話

 このドラマには2人の糖尿病患者が登場しています。1人は結さんに隠れて大福を食べていたし、もうひとりも教育入院の甲斐なく暴飲暴食を繰り返して再入院してきた。そしてドラマは、この2人ともに「このままだと一生インスリン注射を手放せない」と脅しをかけている。

 いうまでもないけど糖尿病には1型と2型があって、1型患者は生活習慣や肥満に関係なく常にインスリンの投与が必要です。

 ところが『おむすび』は、糖尿病患者はどいつもこいつも自力で食事管理ができないと言っている。インスリンを打ってる人間は、食事管理を怠った人間の末路だ。そういう描き方をしているんです。1型糖尿病を患っている方々の中には、今回『おむすび』が描いたような偏見にさらされている方が少なくないはずです。

「愛のパワー」だけじゃ治らない糖尿病もあるということは、説明しておくべきだと感じるんです。

 あとやえちゃんが搬送されてきた後に「インスリン注射のことばっかりが頭にあって、膵臓の病変のことなんかまったく考えてなくて」とか言ってましたが、これどういう意味なの? 糖尿病患者について、食事管理のことや失明や壊死といった重い合併症のことばかりが頭にあって膵臓にまで気が回らなかったと言うならわかるけど、インスリンのことを考えて膵臓のことをまったく考えないってどういうことなのよ。インスリンって、膵臓から出るのよ。知らないの?

 糖尿病悪化の弊害をインスリン注射だけに単純化してしまったことで、こんな変なセリフが生まれてしまっている。しかもこの変なセリフは、「管理栄養士たるものエコーで見抜けない腫瘍を見抜くべし」という超絶に変な前提の上に成り立っている。

 これね、「管理栄養士たるものエコーで見抜けない腫瘍を見抜くべし」という前提を作って、それに対して主人公に謝罪をさせてしまったことは明らかな害悪だと思うんです。社会に悪影響を及ぼすに足るだけの誤解を与えている。世の管理栄養士さんはガチのマジで怒ってると思う。だって、このドラマを見たガン患者の親族から「管理栄養士のくせにおまえ、なんでガンを見抜けなかったんだ」「おまえも米田結と同じボンクラか、思い上がってんのか」って責められる可能性が生まれてるんだもん。やってらんないですよ。