俳優の黒沢あすかさんが、長塚京三さん主演の映画『敵』に出演しました。筒井康隆氏の小説を吉田大八監督が映画化した作品で、引退した元大学教授が穏やかな老境の日々を送るも、突如やって来る「敵」に翻弄される姿を描いた異色作。黒沢さんは、主人公の亡き妻役を演じています。

◆「夫とはいえ羨ましかった」念願の吉田大八作品

黒沢あすか(以下、黒沢):タイトルの「敵」とは、本人が引き寄せてることなのか、それとも誰かに仕組まれたものなのか。目に見えない運命と言っていいのかどうかわかりませんが、主人公は何かに仕組まれ引き寄せられてしまっているのかもしれないと、映画を観ながらそういう気持ちにさせられましたね。2度観たのですが1回目と2回目で印象がまるで違いました。
――この作品に関わっての感想はいかがですか?
黒沢:まず『敵』の“住人”になれたこと、それと吉田大八監督とご一緒できたことが嬉しかったです。吉田監督とはどうしてもご一緒したかったんです。夫(梅沢壮一)が特殊メイクアップアーティストとして『桐島、部活やめるってよ』(2012)で先にご一緒していて。あの作品を観たときに夫に「よかったね」と拍手すると同時に、吉田監督の作品に「先越されちゃった!」っていう思いがこみ上げてきたんです(笑)。