――結婚20周年を目前にしてですか!?
黒沢:そうですね(笑)。夫からの精神的自立ですかね(笑)
――依存していたということでしょうか?
黒沢:今振り返ると、そうですね。夫のことを尊敬してるんです。夫は世の中を知っている。わたし10代からこの世界にいるので、世間のいろいろなことからちょっとずれていると感じることがあるんですね。そこを会話することで修正してくれるのが夫なんです。子どもたちもそうなんです。
だから、もちろん変わらず夫を尊敬しているのですが、尊敬していることと依存するってことが、どうもわたしの中でごっちゃになっていたんだなっていうことが最近わかったんです。
――そのことに『敵』の撮影を経て気づかれたのでしょうか?
黒沢:家族に宣言したんです。この『敵』、そして信子役をしっかり演じたいから、一人でホテル暮らしをさせてと。撮影場所が大宮の方だったのですが、その近くでホテル住まいを許してくださいと、息子たち、夫たちに頼んだんです。そしたらみんなが「いいよ。そんなにすべてを賭けているのであれば、そうしてくれて構わないよ」と快く言ってくれて。
夫を含めた家という大きな存在から離れる行動を自らしたということで自立した、という意味なのですが、そのおかげで撮影が終わったときに解放されて、一本立ちできている自分をイメージできたんです。
◆「依存と引け目がなくなった今」が気持ちいい

黒沢:本当にそうなんです。もちろん日々家族の中で夫に助けてもらうことに対してもありがたいと思っているのですが、その中に引け目が一つもなくなっているという感じです。依存と引け目がなくなった。夫に対する依存と尊敬がごちゃ混ぜになって絡まっていたものが、ちゃんと離れている状態が今とても気持ちがいいんです。だから背筋が伸び、背筋が立っていることが自分でもよく分かるんです。