監督がいて、脚本家がいて、役者がいるのですが、クリエイティブな作業をするうえでは、権力の均衡が取れている状況を作ろうと取り組んでいる。
「同じクリエイティブな作業に関わる人間として、その場にいる全員が同等に存在しているんだという意識を持っていこう」といった動きがすごく大きいと思います。
私もそこに賛同しますし、……自分の周りもそうなっていったらいいなと思います。
――芝居の現場よりは遅れを取っている?
沢城:……なんであれ“その現場による”とは思いますが、そう感じる部分はあります。最初から何でもかんでも自分の意見が通る場所が欲しいということではなく、もっと伸びやかに脇役や年下とか関係なく、全員が等しくクリエイティブな作業に参加しているとの意識を持てると、単純に作品にとってプラスなのではと思います。
――ご自身がキャリアを重ねてきたから、より感じることでもありますか?
沢城:そうですね。自分がいわゆる中堅に入ってきたこともあって、若い方たちにもなるべく縮こまって仕事をしてほしくないと感じるようになっています。
なぜなら、下手だけど下手なりの全実力を出して帰りたいと、10代の頃思っていたから(苦笑)。現場で緊張してしまうと呼吸が浅くなるし、体が固まると伸びやかな声が出なくなる。
瑣末(さまつ)なことは気にせず作品に集中できたらいいよねと思います。
◆足元に花びらが散った!究極の可憐な先輩とは

沢城:それは仕事を問わずそうだと思います。
――では最後に。技術も素晴らしいのだけれど、とにかくこの人は「人たらし!」とパッと浮かんだ先輩を教えてください。
沢城:池田昌子さん(『エースをねらえ!』お蝶夫人、『銀河鉄道999』メーテル、オードリー・ヘプバーンの吹き替えなど)でしょう……!
お名前をあげるのも恐縮ですが、『宇宙兄弟』と言う作品でご一緒させていただく機会があったとき、扉の段差をぴょんと飛び越えるだけだったのに、足元に花びらが散ったのを見たことがあります……!