なお、今回の『ヒプマイ』映画は、例えば「Buster Bros!!!」の聖地でもある東京・池袋の劇場には、チームを応援するファンが集まりやすい傾向もあり、「ヒプマイ、実在する映画館でファン同士の陣取り合戦みたいになってておもしろい」「オオサカファンが都内だと日本橋の劇場に集結してるのアツイ」などという声も。
さらに、渋谷HUMAXシネマは26日午前8時台に公式Xで「シブヤディビジョン『Fling Posse』がついに無傷の20連続優勝達成です」(原文ママ)と報告するなど、関連ディビジョンを応援する空気感、ファンとの一体感を作り出している劇場も。こうした盛り上がりが、今後の成績にどれだけつながっていくのかにも注視したい。
広瀬すず主演『ゆきてかへらぬ』、トップ10入りならず
そんな『ヒプノシスマイク』と同日公開の実写映画『ゆきてかへらぬ』(広瀬すず主演)はトップ10圏外に。同作は実在した女優・長谷川泰子(広瀬)と詩人・中原中也(木戸大聖)、文芸評論家・小林秀雄(岡田将生)の愛と青春を描いた映画だ。
モントリオール世界映画祭の最優秀監督賞を受賞した『ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~』(09年)でも有名な根岸吉太郎氏が16年ぶりに長編映画のメガホンを取り、同作や『最後の忠臣蔵』(10年)などの田中陽造氏が脚本を担当。鑑賞済みのネットユーザーからは「ノスタルジックで素敵な作品」「役者も映像も良かった」との声が寄せられている一方、「期待外れ」「キャストは悪くないし映像美も評価できるけど、よくわからなかった」という意見もみられる。
この結果を受け、前出のヒナタカ氏はこう分析する。
「公開館数は160館と中規模で、ほかのメジャーな邦画大作と単純比較はできませんが、やはりキャストの豪華さを考えると少し寂しい成績ですね。エンタメというよりもアート寄りの作風ですし、キャストのファンや若年層には、なんとなくの印象から敬遠されてしまったのかもしれません。また、この映画を訴求するはずのシニア層が、コロナ禍以降に映画館に戻り切っていない現状も、この苦戦に少なからず影響しているのでしょう。とはいえ、作品自体には気合が入っています。根岸監督の16年ぶりの長編映画で、大正時代を美しく魅せた美術や撮影が素晴らしく、劇場で堪能してほしいと心から願えるものでした。『映画館で映画を見る』価値を知るきっかけになる1本だと思いますし、これからの伸びを期待したいですね」