全国85スクリーンと小規模で封切られた『ヒプマイ』映画だが、劇場用映画としては日本初となる観客参加型「インタラクティブ映画」で、観客がスマホアプリを操作し、ラップバトルの勝敗をリアルタイム投票で決定。同作では全48ルートのストーリー、7パターンのエンディングが用意されているという。それぞれのストーリーや結末を見るべくリピートを検討する者もいるだろうが、SNS上の書き込みからは、好きなチームを連勝させる目的で劇場に通う者も多いことがわかる。
同作の魅力について、映画ライターのヒナタカ氏は以下のように語る。
「Creepy Nuts、KREVAら豪華アーティストが参加した楽曲および、パフォーマンス映像のクオリティーもものすごく高いんですよ。だからこそリピーターの獲得につながるのはもちろん、『ヒプマイ』から一時的に離れていた人が戻ってきたり、予備知識がなくても楽しめる内容のため新規ファンもじわじわと増やしそうです」
日本初のインタラクティブ映画『ヒプマイ』は「今後応用が利く」
ちなみに、同様のシステムの作品としては、Netflixで配信中の『ブラックミラー バンダースナッチ』(18年)が挙げられ、「主人公の行動を視聴者が選択できる相互作用的なエンタメ性がある作品」だったとのこと。
「また、海外では『ロッキー・ホラー・ショー』(1975年)で観客がパーティーのように楽しむスタイルが定着しましたし、日本でも特定のファンを獲得した映画で声援を送ることができる“応援上映”が開催されています。今回の『ヒプマイ』映画では、『選択式で結果が変わるテレビゲーム』のような面白さと、『不特定多数の他のお客さんと一緒に応援する』参加型の体験が組み合わさっているわけです。トーナメントでの勝ち負けを決める以外でも、今後、いろいろと応用が利きそうですよね。今では“推し活”という言葉が広く認知されるなど、作品やキャラクターへの能動的な“応援”はとても需要のあるエンタメだと思いますので、これから先の新しい展開も期待したいです」