大雨 車中
 さらに次期社長の妻としてドライバーを取りまとめるリーダー的なポジションにすえられ、彼らに対する指導や評価などの業務まで覆(おお)いかぶさってきたのです。

「給料? ありませんでした。嫁だからタダで使っていいという方針だったんじゃないですかね。お陰で生理用品すらまともに買えませんでしたよ……。

 本当に日々酷使されるばかりの生活で、夫とも生活時間が合わずにすれ違うばっかり。お金も無いのでかろうじて週1回あった休みの日はひたすら寝てました。」

◆風俗嬢として働き出した

 そんな生活に嫌気が差した晴美さんは、ある日ドライバー仕事帰りに通りすがりの道である店を見つけます。それは、路面営業をしている風俗店。晴美さんはフラフラと吸い込まれるようにその店に入り、気が付けば面接を受け、風俗嬢として働くことが決まりました。

「夫との性生活もなく、金銭面でも女としてもカラッカラになっていたタイミングだったんで無意識で選んだのかもしれません。私はドライバーの仕事が終わった後の短い時間と休日だけそこで働き始めました。

 風俗で働くわりには微々たるお金だったかもしれませんが、それでも無給の義実家の会社よりよっぽど生活の助けになりました」

 ところが、晴美さんがそのお店の近くの駐車場に社用車を停めていたため、「あの会社の人は仕事中に風俗通いをしてるのでは?」という噂が立ち始めたそうです。もちろん義実家や夫は犯人を割り出そうとしましたが、まさか嫁が働いているとは露ほども思っていなかったようで、何も判明せず。

◆義実家が会社を畳むタイミングで離婚

離婚
 そうこうしてるうちに信用がどんどん落ちて業績がさらに悪化。結局、義実家は会社を畳むことに……。

「私はそのタイミングで離婚を切り出して、風俗で働いていたことが万が一にでもバレないように、慰謝料も何もいらないからと逃げるように上京しました。

 その後は一切連絡を取ってないので元夫がどうしているのかは知りません。過ぎたことはもう仕方ありませんが、あんな男だと見抜けなかったことは私の反省すべき点ですね」