このような割引とは別に、スーパーはパンメーカーと「年間取引額に対して◯%の販売奨励金を支払う」などのキックバック契約(適法)をする商習慣があります。クリスマスケーキもそれに含まれますから、多少利益補填されることもケーキの割引販売につながっていると思います。

 キャッシュバック契約の最低金額をクリアするために、締め切り間際に同じメーカーのパンばかり特売するスーパーもあるほどです。この商習慣はパンメーカーにとどまらず酒類や一般食品、市場取引そのものにもあります。それだけにスーパーは、契約したメーカーの商品仕入額を増やすためにM&Aや統合を繰り返して企業規模を拡大しているともいえます。

「売れ残ったケーキを半額で買う」は通用しない?

 今は店が従業員に販売ノルマを課したり、取引先に半強制的に売りつけたりすることは、パワハラ・モラハラに認定される時代になりました。スーパーによっては報奨金まで出してクリスマスケーキの予約獲得に励んできましたが、もうそんな荒っぽい営業はできない(はず)でしょう。

 もちろん、スーパーも予約客以外のために「当日売り」のクリスマスケーキを仕入れますが、売れ残らない程度の数量ですので、「ケーキ難民」にならないためにも、やはり予約することをお薦めします。

 クリスマス当日、「売れ残ったケーキを半額になるまで待って買うテクニック」はもう通用しません。それをしてしまったら、事前に予約してくれたお客様に申し訳が立ちません。残ったケーキを売り尽くすために、従業員を長時間働かせることの方が企業倫理に反しますし、早く売り切ってスタッフを家に帰してあげることが経営者の優しさでもあります。

 皆さんがよく目にする「えっ、もうケーキは全部売り切れちゃったの?(チョコレートしかないの?)」という光景にはそんな背景があるんです。

 私なら予約はせずに、見込み客用に大量に陳列されたコンビニの「2個入りショートケーキ580円」を買います。割高ではありますが、この時期一番コスパが良いと言えるでしょう。ただクリスマスイブの午前中に行かないと、予約のホールケーキ以外は全て売り切れて、シュークリームでお祝いすることになりますので要注意です。