スーパーはクリスマスの「曜日回り」によって、店舗全体の売り上げが大きく左右されます。クリスマスが週末に当たると、お客様は総合力で勝る大型ショッピングモールに家族で出かけますが、クリスマスが平日なら、仕事や時間的制約もあるため普段使いのスーパーへ行きます。今年のクリスマスイブとクリスマスは、火曜と水曜なので、スーパーにとってはまさに稼ぎ時ですね。

 自宅でのクリスマスパーティを直近の週末にズラす割合が極めて低いことは、予約したケーキの受取日から見ても明らかです。具体的にはクリスマスイブが8割、当日が2割、その前後はほぼゼロという具合。土用丑の日の「うなぎ」や節分の「恵方巻」が当日しか売れないのと同じです。

 スーパーがクリスマスケーキの予約に躍起になるのは、ケーキの受取日(すなわち稼ぎ時)にお客様を自店に取り込むことが目的。来店さえしてもらえたら、ワインやシャンパン、ローストチキン、手巻き寿司や鍋物の材料、ケーキに追加するイチゴなど、利益率の高い商品を一緒に買ってもらえます。

 「ハレの日」の売り上げは、通常の2倍から3倍に跳ね上がります。そのためクリスマスケーキの予約客に対してケーキで得る利益を削ってまで割引するのも、ライバル店に客を取られないための作戦といえます。

「3割引」で儲けはゼロでも、 結果オーライ

 個々の取引条件によって異なるでしょうが、パンメーカーからのクリスマスケーキの仕入れ価格は概ね定価の70%。その30%の利益を削って各スーパーが「ケーキご予約の場合は◯割引いたします」とPRしているんですね。

 スーパーの利益率は20~30%ですから、もし「3割引」にすれば儲けはゼロです。しかしそのおかげで来店客と客単価が増え「結果オーライ」となるので、割引率の違いはケーキを集客の手段としてどのように位置づけているか? の違いです。

 ちなみに、ロピアでは今年、不二家の「苺サンドケーキM」定価4,536円(税込、以下同)を4,210円、ヤマザキの「クリスマス 生ケーキ6号」定価3,888円を3,562円で数量限定予約販売しています。この2つについては、1割引にも満たないようなので、儲けはちゃんと確保できていますね。