◆「法律がない」という問題

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――先ほど同性カップルは「法律で守られていない」とおっしゃっていました。具体的に教えていただけますか?

茂田:私たち同性カップルはこの日本社会ではまだ“想定されていない存在”なので、子をもつ過程で、現状、法律で禁止されていることも認められていることもありません。日本では精子提供にかかわる法律がなく、病院側は基本的に日本産科婦人科学会のガイドライン(「生殖補助医療実施医療機関の登録と報告に関する見解」)に則した対応を行っています。

そのガイドラインには、AID(提供精子を用いた人工授精)を受けられるのは、「法的に婚姻している夫婦」が対象であることが記載されています。

長村:日本産科婦人科学会には、AIDを行う医療施設が15カ所登録されています。しかし、同性カップルは法律上の婚姻関係にはならないので、ガイドラインには反することになってしまいます。

――病院で断られてしまうということですか?

長村:日本産科婦人科学会のガイドラインには、「法律上の夫婦であることを確認するため、戸籍謄本を提出することが望ましい」と明記されています。そのため、同性カップルの受け入れを拒否する病院はあります。

しかし、ごくわずかですが子どもがほしい同性カップルに理解を示してくれる先生もいます。こどまっぷでは、そのような一部の先生をなんとかつなぎとめている現状です。

――病院で提供精子を用いた人工授精を受けるのが困難な場合、ほかに同性カップルが提供精子を用いて子どもを授かる方法はないのでしょうか?

長村:病院を利用せず、自分たちで行う人もいます。たとえば、精液をシリンジと呼ばれる器具に入れ、女性の体内に注入するシリンジ法というやり方があります。しかし、何度シリンジを使っても子どもができないことは珍しくなく、最終的に病院でAIDを受けたいという人は多いです。