その輩っぽい男性が運転席側のドアの横で怒鳴りました。
ユカリさん「……」
しかし、ユカリさんは無視を決め込んでいます。
輩「窓開けろや!ババア」
ユカリさん「……」
輩「てめえ、何睨んどんじゃ!」
ユカリさん「……」
輩「オラァ、なんでオレを入れなかったんじゃい!」
◆警察を呼ぼうとして妻に止められる
男はドアの横で怒鳴り続けます。しかし、ユカリさんはそれでもじっと前を向いたまま無表情のままです。その態度が我慢ならなかったのか、男はドアノブをがちゃがちゃと握って無理矢理開けようとしてきました。
大変なことになったと思ったヨシカズさんは、急いでスマホを取り出して110番を掛けて助けを呼ぼうとします。そんなヨシカズさんの様子を見たユカリさんは、
「警察呼ぶ必要ないから、電話掛けないで」と言って制しました。
◆ドアを足で蹴って外へ出た妻
「え?なんで?ってその時思いましたよ。あおり運転の事件のニュースも見ていたので、余計に怖かったです」
ユカリさんが短いため息を吐いた後、いきなり運転席のドアを足で蹴るように開けて外に出ました。
男はその勢いに気圧されたのか一歩後ずさりします。ヨシカズさんは、なんてことするんだ!と内心大慌てでしたが、ユカリさんは胸を張って事も無げに男に近づいていきます。そして、いつもより少し低くドスのきいた声でこう言いました。
◆妻が名乗ると男の態度が急変
妻「テメェ、この辺の者か? ウチの名前、◯◯知ってんのか?」
一瞬輩は目を大きく開け
輩「◯◯? え、もしかしてあの◯◯さんの妹さん?」
先ほどまで威勢が良かった輩が、まるでホテルのベルボーイのようにユカリさんに深々と頭を下げて、大声で「申し訳ございませんでした!」と謝罪の言葉を述べました。さらに旦那であるヨシカズさんにも大きく一礼をして、消え去っていきました。