その同僚女性は、最後のお別れの時にも自作の折り紙の花と想いを綴った和歌を棺に入れて欲しいと頼み込んできたとか。通夜ぶるまいでの一件を知らなかったT美さんは特に断わらなかったそうです。
「和歌を見る限り本当に彼女の片思いだったようです。それも本当に乙女のような純愛系。あとから彼女のマウント話も聞きましたが、なんか私の知らない父の人生を垣間見た気がして不思議な感覚になりました」
◆受付業務も取り合いに
さらに通夜や葬儀の受付業務も「最後に所属していた部署」「入社時からの仲の良い同僚グループ」「学生時代の友人たち」どこが担当するかでモメたという話もあったとか。どうやらT美さんの父は、とにかく周りから愛されていたようですね。
「そうした父の人柄を知ることが出来たのは、まさに父が亡くなってからの話。改めて尊敬の念を抱いています。でも、出来れば生きているうちに知っておきたかったですね……」
T美さん自身、父のように惜しまれ愛される社会人になるのが今の目標だそうです
―冠婚葬祭・式典のトンデモエピソード―
<文/もちづき千代子>
【もちづき千代子】
フリーライター。日大芸術学部放送学科卒業後、映像エディター・メーカー広報・WEBサイト編集長を経て、2015年よりフリーライターとして活動を開始。インコと白子と酎ハイをこよなく愛している。Twitter:@kyan__tama