どのみち、史実の時系列とドラマの時系列に整合性はありません。しかし、先述したように、ドラマでは小松姫が「稲」ということになっていることから、松姫(あるいはそれに類似した存在)のエピソードが出てくる可能性は高く、ここに千代が再登場した本当の理由がある気がします。

 千代は、亡き瀬名姫(有村架純さん)を最終的には慕っていました。史実の家康は、ドラマでも後に登場する阿茶局をはじめ、武田家ゆかりの女性を側室にすることにこだわっていた節があり(武田の遺臣を先祖に持つ江戸学の祖・三田村鳶魚などは、それを家康による「女狩」と表現すらしています)、実際に家康が秀吉に臣従したドラマの時間軸の時点ですでに、於都摩(おつま)の方こと下山殿という「武田の女」を側室にして子ももうけていたわけですから、ドラマの家康が史実どおりの性格ならば、武田家と関わりの深い千代とねんごろになってもおかしくはないのかな、と考えてしまうのですが……。「武田の女を匿う」という鳥居元忠の側室エピソードを思わせる次回あらすじからすると、元忠が千代と恋仲になっているという予感もしますね。

 『どうする家康』は、瀬名姫をはじめ女性キャラクターにおけるドラマオリジナルの要素がおもしろいことになりやすい気がするので、今後の放送がより楽しみになってきました。

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