生前贈与を活用する

生前贈与では、現在の税法で贈与税の基礎控除額を使うと、毎年110万円を超える場合は贈与税がかかります。その枠内に留めるか、他の方法で財産を分けるときでも高額の贈与税がかからないようにするのがよいでしょう。

例えば、1000万円の贈与をする場合、110万円の基礎控除額内で贈与するのであれば、100万円ずつを10年間にわたって贈与する必要が出てくるため、早めにおこなうほうがよいでしょう。

養子縁組をしておこう

ケース2の場合、Eちゃんの今後のことを考えると、少なくともDさんとEちゃんが養子縁組をしておいてもらった方がC子さんとしては安心でしょう。そして、養子縁組をしたとしても、その養子と実の親との親子関係が切れるわけではありません。Eちゃんは実の父親である前夫が死亡した場合、相続人になることができます。

ただし、EちゃんとDさんが養子縁組をすると、Eちゃんを養う責任はDさんが負うことになります。Dさんに十分な収入があるのに、前夫からも養育費を払ってもらっているとなると、お金をもらいすぎていると捉えられる可能性があります。

また、DさんとEちゃんが養子縁組をしたことを前夫が知れば、養育費の支払い額を下げる、あるいは、養育費自体をなしにするように求められることも考えられます。

C子さんがDさんとEちゃんの養子縁組に抵抗があるのであれば、Dさんに何かあったときに備えて、あらかじめ贈与をしてもらうか、遺産を受けとることができるように遺言書を書いておいてもらうことも検討に入れてよいと思います。

遺留分は、ケース1と同様の問題があります。ただ、DさんとEちゃんが養子縁組をしていれば、Dさんの親は相続人にならないので、Dさんの親が健在でも遺留分はありません。また、Dさんのきょうだいにはもともと遺留分はありません。ですから、EちゃんがDさんの養子になっていると、他の人の遺留分を気にすることなく遺言書を作成できます。

再婚後の相続トラブルはできるだけ防ごう

(写真=George Rudy/Shutterstock.com)

離婚というつらい経験を乗り越え、再婚して新たな家庭を築くからには、幸せな家庭生活が長く続くようにしたいと願うのは当然です。相続問題が発生したことで、せっかくの新しい家庭生活が一変してしまうのはとても残念ですよね。残された自分や子どもが困ることのないように、早めの対策を心掛けけておきたいものです。

文・片島 由賀(弁護士)/DAILY ANDS

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