(本記事は、萩原博子氏の著書『投資バカ 50歳を過ぎたら取ってはいけないお金のリスク』宝島社、2018年8月24日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

【 『「50歳を過ぎたら取ってはいけないお金のリスク」のつくり方』シリーズ】
(1)初心者が投資をする前に心がける「5つの鉄則」とは?
(2)実はスゴイ「公的な保険」がこれだけ優れている4つの理由
(3)保険に入る前にチェックしておく「3つの大事なこと」
(4)賃貸かマイホームか 選ぶときに「資産価値」よりも大事なものとは?

※以下、書籍より抜粋

老人だって家を借りられる時代になった

一生賃貸というと、「高齢になると、家を貸してもらえない」と心配する人がいますが、全然そんなことはないと思います。

賃貸経営は、空室が最大の恐怖。貸したい若者は人口減少で少なくなるのですから、老人に家を貸さなければ経営が成り立たなくなります。

高齢者向け施設も、20年もたてば今のシステムではないはず。

「おひとりさま」ならぬ、人生100年時代の遊び好きで体力のあり余った 「おひとり老人」が街中を闊歩するのですから、80~100歳が共存共栄できる、超進化系のシェアハウスのような形態が登場するかもしれません。

ただ、「一生、家賃を払い続けていけるかどうか心配」という人もいます。

確かに、年金暮らしで家賃を払うのは大変かもしれませんが、マンションを持っている人も、管理費や修繕積立金、固定資産税は一生払っていきます。

一軒家も家中のどこかがガタがきて、リフォームが必要になるでしょう。

賃貸なら身軽に動くことができ、子どもたちが独立して家族構成が変わるたびに、激安物件を探しては引っ越せばよいのです。

日本はセイフティーネットが充実しているので、資産がなければ都営アパートという手もあり、老人でも借りやすいUR賃貸住宅も、今後、空室が増えていくのが目に見えているので、更新料なしで借り放題です。

日本人は、持ち家の呪縛から自由になるべきだと、私は思っています。

また、現実にそうなっていくでしょう。

今、賃貸の人は、住宅に関しては心配するどころか、ラッキーな状況となりそうです。

ただし、安いとはいえ、老後のための住居費と、日々の生活費は変わらずにかかりますから、貯蓄をすることをやめてはいけないことは、釘を刺しておきます。

これからマイホームを買いたい人へ

「子どもはマイホームで育てたい」「賃貸ではいつまでたっても自分のものにはならない」「子どもに家を残したい」。

家を買う理由はさまざまありますが、老後に向けて家を買う最大のメリットは、「その土地に根をしっかり下ろし、地域コミュニティーに参加できる」ことではないかと思います。

年をとったら、地域コミュニティーで活動することがメインになる人は多いです。「遠くの親戚より、近くの他人」とはよくいったもので、近所付き合いは煩わしい反面、ピンチのときには助けてくれる心強い存在です。

マンションも同じ屋根の下で暮らすのですから、お互い生涯のいい友人になれるかもしれません。

賃貸で暮らすのは浮草のようなもので、隣人との挨拶もろくにしないので、地域に頼ることができないのは、人として寂しいかもしれません。

不動産経済研究所のデータによると、2017年の首都圏の新築マンションの発売戸数は3万5898戸で、契約率68.1%。

70%を切ったら大変といわれている契約率がこの状況では、売れていないということではないでしょうか。

一方で、中古マンションの売れ行きは順調なようです。

東日本不動産流通機構によると、首都圏の中古マンションの売れ行きは、2017年に入っても前年同月比でプラスが続いているのだそうです。

中古マンションはどんなに築浅物件でも新築価格の6割程度ですから、残りの人生の期間を考えたら、新築にこだわることはありません。戸建にしろ、マンションにしろ中古物件がお勧めで、できれば築10年以内の築浅物件がよいでしょう。

これからマイホームを買いたいという人にとって、「オリンピックの崖」以降の不動産価格の下落は朗報です。

さらに空き家に固定資産税の減税がなくなりそうなので、「家を壊して土地を売ろうか」という人や、相続税の基礎控除が少なくなったので、「税金を納めるため、親の家を売らなければならない」という人が増えます。

住みたい街を歩いて更地やコイン駐車場を見かけたら、交渉次第で安く買える可能性が高いです。

住宅を買うときの心得は「資産価値ではなく、使用価値を買う」こと。

転売して利益を狙うことは諦めて、使用価値に着目し、生涯、そこに住めるような住環境や、ライフスタイルに合った物件を選ぶことが重要です。

「みんなが整形地の分譲住宅を買っているからうちも買う」ではなく、「うちは落ち着いた生活を好むから、通りから奥まった土地のほうが合う」と考えて、積極的に割安な旗竿型の土地の建売りを探すのもよいでしょう。

旗竿型の土地は、表通りに比べると300~500万円も安くなります。

またL字型や、台形のような不整形地の狭小住宅は、人気の街でもかなり安い価格で売り出されることがあります。

これらの掘り出し物の戸建てや土地は、ネット検索では出てきません。街を歩き、地元の不動産を訪ねてこそ、掘り出し物に出会えます。

(画像=Webサイトより ※クリックするとAmazonに飛びます)

荻原博子(おぎわら・ひろこ)
経済ジャーナリスト。大学卒業後、経済事務所勤務を経てフリーの経済ジャーナリストとして独立。経済の仕組みを生活に根ざした視点から、わかりやすく解説する第一人者としてテレビ、ラジオ、新聞、雑誌など各種メディアで活躍中。近著に『投資なんか、おやめなさい』(新潮新書)、『老前破産 年金支給70歳時代のお金サバイバル』(朝日新書)、『荻原博子のグレート老後 人生100年時代の節約術』(毎日新聞出版)など。

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