給付の種類と金額の決定方法

各制度から受けられる給付は、いずれも原則60歳以降に受け取れる老齢給付金が基本だ。給付金は年金か一時金、もしくはそれらを組み合わせた形で受け取れる。

給付の基本となる老齢給付金の金額は、確定給付型か確定拠出型かでまず異なる。確定給付型なら各企業が定めたルールのもとで給付額は決定され、確定拠出型であれば給付額はその運用成績で決まる。

そのほかの給付には、遺族給付金(死亡一時金)、障害給付金、脱退一時金がある。遺族給付金は加入者など死亡した時に遺族に支払われる給付、障害給付金は障害を負ってしまった時に支給される給付だ。脱退一時金は短期間で制度から脱退する時に支払われる給付である。それぞれ定められた要件を満たした場合に受け取れる。

確定給付型の企業年金の場合、遺族給付金、障害給付金は任意であり、設定しているかどうかは企業による。ただ障害給付金を設けているケースは少ない。確定拠出年金においてはどの給付も設けられているが、脱退一時金の要件は厳しく、受給は難しい。

退職金額の決定方法

退職金額の主な決定方法としては、基本給連動方式、定額方式、ポイント制方式、別テーブル方式がある。基本給連動方式は算定の基礎となる給与額に勤続年数に応じた一定の支給率を掛けて計算する、いわば年功型の方法だ。基礎とする給与額は加入期間の平均額であったり退職時の給与額であったりと、企業によって異なる。

一方、定額方式、ポイント方式、別テーブル方式は、基本給および勤続年数と退職金額が直接関係しないような仕組みになっている。

定額方式は給与額に関係なく、予め退職金の支給額を定額として決めておくやり方だ。ポイント方式では勤続年数や職能、役職などの評価要素をポイント化し、その累積ポイントに1ポイントあたりの単価を掛けて算出する。別テーブル方式は、給与体系とは別の体系に則って退職金を算出する方法である。

各企業は基本的にそういった金額の決定方法、支給要件や支払い時期などを勘案し、自企業に合った制度を設計している。

実際の退職金額はどうなるか

実際に確定拠出年金と他の制度を比べると、計算方法と金額はどうなるだろうか。個人型の確定拠出年金に加入する会社員A氏と、基本給連動方式を採る退職一時金制度の対象者である会社員B氏のケースを比較する。A氏とB氏の制度加入期間はともに30年間とする。

A氏の会社には企業年金がなく、加入しているのは個人型確定拠出年金のみである。この場合、毎月拠出できる掛金額の上限は2万3000円だ。

A氏はその上限額を毎月、30年間、運用利率1%で運用したとする。そうなると積み立てた掛金総額は828万円、運用益は137万1449円で、合計額は965万1449円だ。これが退職金の原資となる。

B氏に適用される基本給連動方式は、退職時の給与額に勤続年数に応じた乗率を掛けて金額を決めているとする。B氏の退職時の基本給は60万円、勤続年数は30年で、この勤続年数に応じた支給率は15.0と定められている状態だ(厚生年金)。

この場合、退職金として受け取れるのは60万円に15.0を掛けた額、900万円になる。

文・ZUU online編集部/ZUU online

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