各年金で掛金はどう違うか

掛金で違いがみられるのは、誰が掛金をどれぐらい支払うのかという点においてである。

確定給付企業年金と厚生年金基金、企業型確定拠出年金では、掛金は会社側が負担する。基本的に従業員側が企業年金に対する掛金を追加で支払う必要はない。だが、規約に定めがある時など、場合によっては加入者も追加で掛金を支払える。一方、個人型確定拠出年金では加入者自身が掛金を払う。

そして支払う金額についても、その決まり方に違いがある。確定給付企業年金と厚生年金基金の場合、掛金額は給与の一定割合などのルールのもとで決まり、金額自体にかかる制限はない。しかし確定拠出年金には、企業型と個人型どちらにも金額の上限があり、その範囲で掛金額は決まる。

例えば企業型であれば、他の年金に加入しているかどうかで上限額は変わる。加入していると、その上限額は加入していない場合より低くなる。

個人型だと加入する人の立場が上限額に影響する。上限額が最も高いのは自営業者やフリーランスといった立場の人たちだ。会社員は個人型でも企業型と同様に、他の年金に加入しているかどうかによって上限額が変わる。

各年金で運用方法はどう違うか

運用方法における違いは、誰が運用するのかという点にある。

確定給付企業年金と厚生年金基金では主に企業が設立した基金や委託を受けた組織が運用を行う。だが確定拠出年金では個人型、企業型ともに加入者自身が運用する。つまり運用リスクは利用者自身が負うことになる。この運用方法の違いは制度間における大きな違いだ。

確定給付企業年金と厚生年金基金は将来加入者が受け取る給付額が加入期間などに基づいて予め決まっている。このことから、拠出する掛金額自体が決まっている確定拠出年金に対して、確定給付型と呼ばれている。

確定給付型だと加入者にとっては老後の生活設計がしやすいが、企業側にとって給付額が決まっているということはデメリットにもなる。運用の失敗などで積立金不足が生じた場合、企業側が追加で掛金を支払わなければならないからだ。

このようなデメリットにより、確定給付型の企業年金は運営状態が厳しくなった。そうした背景もあって新たに設けられた確定拠出年金では、そのデメリットが利用者自身に及ぶ。

確定給付型と比較して確定拠出型と呼ばれる確定拠出年金では、給付額は運用の成果次第で決まる。つまり確定拠出年金制度の利用者は、運用の仕方によっては給付額を増やすこともできるが、運用に失敗すれば逆に給付額は減ってしまうのである。

例えば定期預金や保険といった元本確保型か、投資信託といった元本変動型が運用結果は変わってくる。元本確保型なら安全性は高いが見込める利益が少ない。元本変動型だと多くの利益を得られる可能性はあるが、その分マイナスになる可能性も高い。

さらに運用商品を複数選ぶなら、掛金をどの商品にどの程度配分するか、といったことも決める必要がある。こうした運用全般について、利用者自身が責任をもたなくてはならない。