他年金制度からの退職者による確定拠出年金への移換

確定拠出年金以外の年金制度、例えば確定給付企業年金や厚生年金基金から確定拠出年金へ年金資産を移換することは可能である。脱退一時金を受け取れる人が一時金としては受け取らず移換を選んだ場合、その脱退一時金相当額を確定拠出年金に移し、以後はそこで運用できる。

また企業年金連合会から確定拠出年金への移換も可能だ。企業年金連合会とは退職や転職、制度の終了などによって厚生年金基金や確定給付企業年金から離れた人の年金資産の管理を担う組織である。預かった資産をもとにした年金の支給機能、また別の年金へ移換する機能をもち、確定拠出年金も移換先の1つになっている。

退職時などにおける給付

確定拠出年金において、規定の年齢に達する前に給付が支給される場合はある。障害を負った時に受け取れる障害給付金、死亡時に遺族が受け取れる死亡一時金、そして退職などによる資格喪失時に受け取れる脱退一時金のいずれかだ。ただどの場合も一定の要件を満たす必要があり、あくまで例外的なケースに留まる。

障害給付金は70歳到達前の加入者や加入者であった人が一定以上の障害状態と認められ、さらに一定期間を経過した場合に請求できる。怪我や病気などによって高度障害の要件に該当する状態となった人が、年金もしくは一時金という形で受け取れる給付金だ。

死亡一時金は加入者や加入者であった人が死亡した時、その遺族が受給できる資産残高のことである。死亡者に年齢の制限はなく、受給権のある遺族は一時金として残った資産を受け取れる。

脱退一時金は退職などで確定拠出年金の資格を喪失した時、さらにいくつかの要件を満たしていた場合に支払われる給付だ。年金資産を移換せず、脱退一時金として受け取れるのは、資格喪失が2017年1月以降だと次の2パターンに該当する時となる。

1つのパターンは年金資産額が1万5000円以下で、ほかの企業型および個人型の加入者、運用指図者でなく、加入資格喪失日の翌月から6ヵ月以内である場合だ。

なお運用指図者とは追加での掛金の拠出ができず、現時点で持っている商品の運用は続けられる状態の人を指す。主に60歳到達や経済的理由に伴う掛金の拠出困難などの事情があり、資格を喪失した企業型および個人型の元加入者である。退職した後、この運用指図者を選択できる場合もある。

もう1つのパターンは国民年金保険料の免除者である場合である。さらに確定拠出年金の障害給付金の受給権がなく、通算の掛金拠出期間が3年以下もしくは年金資産額が25万円以下であり、加入資格を喪失してから2年以内で企業型から脱退一時金を受けていない、という要件を満たさなくてはならない。

確定拠出年金と退職金の比較

確定拠出年金は退職後の人々の生活を保障するという点で退職金と共通している。これはもとより退職時に老後の生活保障のために支払われる退職金を年金化したのが企業年金であり、確定拠出年金はその企業年金に属すからでもある。個人型も老後保障を目的とする点は同じだ。

一般的に退職金は企業において就業規則などによる定めがある場合、企業年金制度に加入している人が、受給要件を満たしていれば支払われる。確定拠出年金では加入している人が一定の要件を満たした時、給付金が支給される。基本的にどちらも一定の年齢後の生活を想定したうえでの仕組みである。

だが中途で退職した人への対応は、確定拠出年金と退職金で異なる。確定拠出年金導入企業からの退職時に一時金を受け取れるケースが例外的であるように、確定拠出年金では60歳に到達するまで原則お金は引き出せない。一方で退職金の場合は、定年まで勤め上げた人より金額は減るが、各企業が設けた一定の要件を満たせば退職時にお金が支給される。

文・ZUU online編集部/ZUU online

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