男性の不妊治療も助成される

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不妊症カップルの50%程度は、男性側にも原因があると言われています。2016年の改正では、男性の不妊治療が助成の対象となったことも注目されました。

精液の状態が悪化していて、他の方法では精液中から精子を回収できない場合は、精巣または精巣上体から精子を直接採取するために「精巣内内精子生検採取法」などの手術を行います。助成対象となるのはこの手術で、このとき採取した精子を使って体外受精または顕微受精を試みることになります。

男性不妊治療助成は原則として、体外受精や顕微授精という夫婦で行う特定不妊治療の一環として扱い、単独での助成は想定されていません。ですが、一部の自治体では、採卵前や採卵後に行った男性不妊治療で精子が採取できず体外受精や顕微授精につながらなかった場合に、単独での助成を行っているところもあります。

通算助成回数は1夫婦あたりで数えられますので、男性不妊治療も1回としてカウントされます。男性不妊治療の助成上限額は、1回につき15万円です。

なぜ助成に年齢要件があるの?

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「年齢が上がるほど妊娠しにくくなるからこそ助成が必要なのに……。どうして年齢で切られてしまうの?」

不妊治療を考える女性なら、助成制度に年齢制限があることを知ったときにこう感じてしまうかもしれません。けれども、これには理由があるのです。

2016年の特定治療支援事業制度改正に向けて、厚生労働省では検討会を重ねてきました。そこで、女性の年齢と妊娠出産に伴うリスクについて、妊産婦の死亡率や流産率、合併症リスクなどが40歳前後から急激に増加することが確認されました。また、特定不妊治療を受けた人のほとんどのケースにおいて、治療回数を重ねるほど出産に至る割合は増えますが、6回を超えるとほぼ横ばいとなり、さらに40歳以上の場合、回数を重ねても出産に至る割合はほとんど増えないことも認められたのです。

それらのデータを踏まえた結果、できるだけ早いうちに集中的に治療をして、妊娠・出産につなげてほしい。そのような考えから、年齢に上限を設け、通算の回数を6回までとし(自治体によってはそれに限りません)、その分、年間の治療回数や通算期間の制限をなくしたというわけです。

この検討会では、男性にも年齢制限を設けることは時期尚早であるとして見送りましたが、将来的には、あらためて医学的知見などを検証し、見直しを検討する必要があるとしています。

「不妊かも」と悩んだら、まず検査を受けることからスタートを

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先述した検討会は、「子どもを産むのか産まないのか、いつ産むのか、といった判断については、当事者である男女が自らの意思で行う事柄である」という考え方を基本としています(「不妊に悩む方への特定治療支援事業のあり方に関する検討会報告書」2013年8月23日)。

不妊治療をすべきかそうでないかは、特定不妊治療助成の要件に合致しているかで決めるものではありません。妊娠しにくいのなら不妊治療をしよう! と治療を推進するものでもなく、あくまで当事者の意思が大切で、治療する意思に沿う立場をとった制度なのです。

不妊治療を受ければ、必ず子どもが授かるというものではありません。しかし、治療を始める時期が早いほど、妊娠の可能性は高くなります。

もし、子どもがほしいと思っているのであれば、「高齢で産む人も増えているし……」と先送りすることなく、ぜひ夫婦で一緒に、まずは検査を受けるところから始めてみてください。

文・菊池とおこ/DAILY ANDS

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