「特定不妊治療助成」をもう少し詳しく知ろう

(写真=Africa Studio/Shutterstock.com)

助成額は確認が必要

基本的には、1回の治療につきその費用の15万円までが助成されます。採卵を行わず凍結して保存しておいた受精卵を移植するだけの場合、また、採卵をしたけれども途中で中止した場合については7.5万円、初めての治療に限っては30万円が上限となります。

これを原則としつつ、助成を行う自治体は、特定不妊治療の内容によっていくつかのステージを設定し、ステージごとに助成額を定めています。

多くの自治体では上限額15万円を採用していますが、東京都のように20万円や25万円に増額しているところもあります。また、さいたま市のように、妻の年齢が35歳未満の場合、初回の助成に10万円上乗せしたり、不妊検査や一般不妊治療、流産や死産などを繰り返す不育症治療の費用を助成したりといった自治体もあります。

自治体によっては、複数の助成を受けることも可能です。東京都では、都の助成した額を治療費が上回る場合、その残りを助成する制度を設けている市区町村もあります。市町村で単独の助成事業を行い、県の助成とダブルで受けられるところもあります。

このように、助成額は一律ではありません。自分の住む自治体のホームページなどを確認し、自分の受けた治療はどういった助成に対応するのか、複数の自治体の助成を受けることができるのかなど、調べておきましょう。

助成を受けられる回数は?

2016年の制度改正から、1年間に受けられる助成回数の限度、助成を受けられる通算期間の限度がなくなりました。ただし、助成を受けられる通算の回数には限度があり、初めて特定不妊治療を受けた時点で妻の年齢が40歳未満なら通算6回まで、40歳以上43歳未満なら通算3回までとなります。43歳以上は助成を受けられません。

しかし、制度改正前の2013年以前や一部施行の2014~2015年にかけて助成を受けたことがある人は、注意が必要です。

旧制度は対象年齢や回数、期間などが異なっていましたので、それまでに助成を受けた通算期間や治療開始時の年齢によって、2016年以降に受けられる助成回数が変わってきます。また、通算回数はその過去の助成もカウントされますし、他自治体で受けた助成の回数も含みます。

札幌市やさいたま市、金沢市など、第一子のときに特定不妊治療助成を受けていた人が第二子以降にまた特定不妊治療を開始するとき、それまでの通算回数をリセットして改めてカウントする制度を設けているところもあります。福井県や高崎市などは、助成回数の制限を設けていません。

申請方法

特定不妊治療費助成の実施主体は自治体ですので、申請期限までに必要書類をお住まいの自治体に提出します。

東京都の場合、必要書類は下記の8点です。

  1. 特定不妊治療費助成申請書(夫婦が記入)
  2. 特定不妊治療費助成事業受信等申請書(指定医療機関が記入)
  3. 住民票
  4. 戸籍謄本
  5. 夫婦それぞれの前年度の所得を証明する書類
  6. 指定医療機関発行の領収書のコピー(保険適用外診療分)
  7. 精巣内精子生検採取法等受診等証明書(医療機関が記入、※夫が手術を受けた場合)
  8. 7を行った医療機関発行の領収書のコピー(保険適用外診療分) 申請先・申請方法は自治体によって異なります。申請期限や助成内容とともに、各自治体のホームページなどで確認しておきましょう。