「特定不妊治療助成」とは?

(写真=Antonio Guillem/Shutterstock.com)

「特定不妊治療費助成事業」は、2004年に厚生労働省が創設し、全国の都道府県、政令指定都市および中核市の自治体が主体となって進められてきました。

2013年までの10年間で、助成件数は延べ約14万8700件に上り、不妊治療を受ける人の増加に加えて年齢の上昇もあることから、2016年に制度改正が行われました。女性の年齢に制限が設けられた反面、年間助成回数の制限がなくなり、男性の不妊治療も対象となるなど内容が大きく拡充され、現在はその新制度のもと、支援が行われています。

不妊治療のうち、タイミング法、排卵誘発法は健康保険でカバーできる治療ですが、人工授精、体外受精、顕微授精は保険が適用されません。自己診療となるそれらの治療費は、それぞれ1回につき人工授精で1~3万円程度、体外受精で約30万~50万円程度、顕微授精で35万~80万円程度がかかるとされています。

「特定不妊治療助成」は、この特に高額となる体外受精・顕微受精(=特定不妊治療)の費用の全部または一部を助成して、不妊治療を受ける夫婦を経済面からサポートしてくれる制度なのです。

不妊治療助成を受けるための条件って?

(写真=Antonio Guillem/Shutterstock.com)

助成の対象となる要件は、

  1. 法律上の婚姻関係である夫婦
  2. 特定不妊治療以外の治療法では妊娠の見込みがないか、極めて少ないと医師に診断された
  3. 治療のスタート時に妻の年齢が43歳未満 となっています。

    ただし、自治体によって設けている要件は異なります。

    東京都では、2018年4月1日以降に開始した1回目の治療から、事実婚の夫婦も助成対象となりました。また、鹿児島県鹿屋市など、治療開始時の年齢に制限を設けていない自治体もあります。

    その他にも、夫婦合算の所得額が730万円までの夫婦という所得制限や、治療を受ける医療機関が都道府県や指定都市、中核市の指定医療機関であること、申請する自治体に夫婦の両方もしくは一方の住所があること、などの要件があります。

    自治体によっては、卵子や精子、胚の第三者提供、代理母、借り腹での不妊治療を除いているところや、市税の滞納をしていないことを条件にしているところもあります。

    不妊治療助成の申請期限はいつ?

    助成は1回の治療ごとに行われ、治療の終了後に申請します。

    申請期限は受け付ける自治体によって異なりますので、お住まいの自治体で確認しておきましょう。東京都の場合、助成対象となる1回の特定不妊治療が終了した日から年度末、つまり3月31日までに申請を行うこととなります。3月31日の消印日有効ですが、その期限を過ぎると申請できないことにご注意ください。