梅雪の「その後」についてざっくりまとめると、設楽原の戦いのおよそ6年後の天正9年(1581年)、『甲陽軍鑑』によると、奸臣にそそのかされた勝頼が、自分の娘を梅雪の嫡男に娶らせるという約束を反故にした事件が起きており、梅雪はプライドを傷つけられました。これがきっかけとなって、梅雪は本格的に勝頼を見限ることを決め、徳川・織田方に急接近していきます。それから1年後の天正10年(1582年)、勝頼の自害によって、戦国大名としての武田家は滅亡しています。このように当主=勝頼の死によって一度は途絶えた武田本家ですが、その復興を熱心に助けたのが、他ならぬ家康でした。家康には古からの伝統や、歴史ある名門を重視する傾向が強く、武田家の存続にも積極的に介入しました。そして、武田本家を継ぐように家康から求められた武田家の生き残りの1人が穴山梅雪なのです。
ドラマの家康は武田信玄(阿部寛さん)が亡くなった際、家臣が喜んでいたのを「敵とはいえ、人の死を喜ぶとは何事か!」とたしなめていましたが、『どうする家康』でも武田家の存続に関する経緯は描かれそうです。しかし一方、家康の最愛の妻の死に関与した唐人医師・滅敬の正体が梅雪であるという設定が本当にドラマに出てくるのであれば、史実との折り合いはどのように付けるのでしょう。創作としては面白い解釈になるのかもしれませんが、かなりの不安要素のようにも思われます。脚本の古沢良太氏のお手並み拝見ですね。
不安といえば、第23回のタイトルにもなっている「瀬名、覚醒」について、気になっている方は多いでしょう。「覚醒」によって、家康と瀬名の間に何か深刻な誤解が生じてしまうような気もしてなりませんね。瀬名は「男にはできぬ、おなごの戦い方」、つまり女性にしかできない役割をこなそうと必死なのでしょうが……。次回は、家康最愛の側室の1人と数えられるお愛の方(ドラマでは広瀬アリスさん演じる於愛)の登場もあるようで、家康一家に波乱が起きることはほぼ確実でしょう。次回は今後のドラマの展開を占うための重要回となるはずで、細部まで見逃さないように視聴したいものですね。
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