また、シーレといえば人物画という印象が強いが、第9章「エゴン・シーレ 風景画」では、風景画も多数紹介されている。母親の生まれ故郷であった南ボヘミア地方の町クルマウは、シーレにとって特別な魅力のある街だった。短期間ながら移り住んだこともあり、その後もしばしば訪れその風景を繰り返し描いている。

人間の生と死、性を生々しく描いた夭折の天才 『エゴン・シーレ展』東京都美術館で4月9日まで開催中
(画像=エゴン・シーレ《モルダウ河畔のクルマウ(小さな町Ⅳ)》1914年 レオポルド美術館蔵、『ぴあエンタメ情報』より引用)
人間の生と死、性を生々しく描いた夭折の天才 『エゴン・シーレ展』東京都美術館で4月9日まで開催中
(画像=エゴン・シーレ《小さな街Ⅲ》1913年 レオポルド美術館蔵、『ぴあエンタメ情報』より引用)

シーレにとって風景画は、自然を模写するようなものではなく、自画像のように自分の心象や心情を反映したものだった。《吹き荒れる風の中の秋の木(冬の木)》では、むき出しの細い木など自然を擬人化して描出し、よるべない孤独感を表現している。

人間の生と死、性を生々しく描いた夭折の天才 『エゴン・シーレ展』東京都美術館で4月9日まで開催中
(画像=エゴン・シーレ《吹き荒れる風の中の秋の木(冬の木)》1912年 レオポルド美術館蔵、『ぴあエンタメ情報』より引用)

16歳という若さで美術アカデミーに入学したシーレの才能をより説得力をもって伝えるのが鉛筆や水彩で描いたドローイングだ。第13章「エゴン・シーレ 裸体」では、シーレのドローイングのなかでも最も重要なモチーフのひとつである女性の裸体を描いた作品を紹介。これらの作品では、立ったり、横たわったりする女性の裸体が特異な画面構成と遠近法で描かれており、不穏な効果を生み出している。

人間の生と死、性を生々しく描いた夭折の天才 『エゴン・シーレ展』東京都美術館で4月9日まで開催中
(画像=エゴン・シーレ《赤い靴下留めをして横たわる女》1913年 レオポルド美術館蔵、『ぴあエンタメ情報』より引用)
人間の生と死、性を生々しく描いた夭折の天才 『エゴン・シーレ展』東京都美術館で4月9日まで開催中
(画像=エゴン・シーレ《頭を下げてひざまずく女》1915年 レオポルド美術館蔵、『ぴあエンタメ情報』より引用)
人間の生と死、性を生々しく描いた夭折の天才 『エゴン・シーレ展』東京都美術館で4月9日まで開催中
(画像=エゴン・シーレ《背中向きの女性のトルソ》1913年 レオポルド美術館蔵、『ぴあエンタメ情報』より引用)