また、地元のうどん屋の名前が、『舞いあがれ!』で目黒蓮が演じた柏木弘明を想起させる「柏木うどん」であったり、売れないミュージシャンをやっている同級生の「ふくちゃん」こと福田俊介(染谷将太)が路上で聞かせたオリジナル曲のタイトルは「アイラブユーが世界を救う」で、back numberによる『舞いあがれ!』の主題歌が「アイラブユー」であることを思い出させる。

 ただ、視聴者を驚かせたのは、『舞いあがれ!』にはなかった「航空学校あるある」も詰め込まれていたことだ。それが実際にどれだけ普遍的なルールであるかはさておき、「先輩と同室の寮では、先輩が先に就寝している場合、先輩を起こさないよう細心の注意を払って二段ベッドのカーテンを閉めなければならない」「食堂はサラダ取り放題だけどお代わりは禁止」「お茶は一回しかくんではいけないが、1回で何杯か持ってくるのは問題ないので、複数杯持ってくる人もいる」「厳しい教官らに叱られることを“ツボられる”という」といった、妙に細かい小ネタが繰り広げられる。無事にパイロットとなってからも、航路の希望を通すためにスケジューラーに根回しをしたり、空港資格といったディテールが描かれ、実際に取材をした形跡がうかがえるのだ。

 プロデューサーの小田玲奈氏は、1周目に出てくる市役所について実際に市役所で勤める人間にバカリズムとともに取材をしたと明かしている。おそらく2周目の薬局、3周目のドラマ制作、4周目の医学部研究室、5周目の航空学校や航空会社などに出てくる細部の描写も、そうした取材から生まれたものだと思われる。