『舞いあがれ!』航空学校編を“1周目”かのように感じさせるパイロット編

 しかし、もっとも「2周目(以降)」を疑われているのは、ほかならぬ脚本のバカリズムかもしれない。

 最後の「やり直し」となる5周目の人生に突入した麻美は、搭乗した飛行機の墜落で死亡してしまう「なっち」こと門倉夏希(夏帆)と「みーぽん」こと米川美穂(木南晴夏)を救うため、真里とともにパイロットを目指す。事故が起こる937便に機長、副操縦士として乗り込むため、(すでに前の人生でパイロットになっている)真里の指導のもと、幼少期から努力してきた麻美は、航空学校に入学・卒業し、弱冠29歳で機長デビューといった困難なキャリア形成を、タイムリーパーである強みを最大限に生かして成功させていくのだが、視聴者を驚かせたのが、このパイロット編で、NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』の「航空学校編」のパロディが見受けられたことだ。

 『舞いあがれ!』では、主人公の舞(福原遥)がプロシージャ(コックピットでのスイッチ操作や確認事項の手順)を覚えるために、ダンボールでお手製のコックピットをつくっていたが、真里も同様にフライトシミュレーターをつくり、小学生の頃から麻美に叩き込む。真里はすでに前の人生でパイロットを経験済みなため、よりリアルな出来になっているところがおもしろい。そしてあっという間に終わった航空学校でのシーンについては、「航空学校は舞いあがれで履修済」「舞いあがれの航空学校編がこのための予習だったんじゃないかってくらいに頭使わずストンストン入ってくる」といった視聴者の声もあり、視聴者に“2周目”を体感させる仕掛けなのではとも疑ってしまう。