『舞いあがれ!』の航空学校編については脚本家交代が賛否を呼んだが、制作統括の熊野律時チーフプロデューサーは「極めて専門性の高い学校」を1年かけて取材する必要があり、「準備段階からの作業が大変なので専門チームを結成」したと弁解した。だが、バカリズムは『ブラッシュアップライフ』において、“航空学校編”のみならず、さまざまな職業について、細かなエピソードを盛り込んでリアルさを演出することに成功しており、どれだけの準備や取材をしたのかと思いをめぐらせ、バカリズムこそ人生2周目(以降)で、『舞いあがれ!』の内容も最初から知っていたのではといぶかる声も出ているようだ(なお、『ブラッシュアップライフ』の撮影が始まったのは昨年12月上旬頃とみられ、この時点で『舞いあがれ!』は航空学校編の折り返しに突入している)。

 バカリズムの弁によれば、どんな結末になるかまったく考えずに第1話を書き始めたといい、真里がパイロットになることや、5周目がパイロット編になることは第1話の時点ではまったく考えていなかったという。巧妙に張り巡らされた伏線の数々――特に麻美の1周目が真里の2周目という絶妙なズレ設定――に、バカリズムの発言を思わず疑いたくなってしまうが、バカリズムならオオアリクイへの転生くらい、受け入れてしまいそうでもある。

 「あくまでコメディ」だとバカリズムが言い切る『ブラッシュアップライフ』。視聴者によるさまざまな考察は当たるのか、それともまったく斜め上の展開があるのか。泣いても笑っても今夜が最終回。麻美の「最後の人生」の顛末を見届けよう。