「シンブン」解散、芸人引退への決意

ーー株で1億円を達成した一方、「シンブン」の解散発表がありました。解散の話はいつ頃からあったのですか。

2016年秋くらいに「このままだとジリ貧、先が見えない」という話があり、3人で相談をしてトリオ名を「シンブン」に改名して、社会派コント集団として出直すことにしました。情報バラエティ番組が全盛の時代なので、「需要があるのでは」と読んだのですが、なかなか結果に結びつきませんでした。

そのうち相方から「引退しようかと思う」という相談を持ちかけられて、話し合いの結果、「シンブン」は解散として、3人それぞれの道を歩むことにしました。

僕に関しては、ピン芸人や、コメンテーターとして活動する道もあったけど、引退を選びました。

ーーそれは、なぜでしょうか。

たとえば、株芸人として活動する道もあったと思います。しかし、それだと自分のなかで、芸人としての自尊心が満たされたない。

それはきっと、『オンエアバトル』を見て芸人を志した自分が、憧れていた姿とは少し違うからなのだと思います。そう考えて、きっぱり引退することにしました。

周りからは、「せっかく有名な事務所に居るのだから、そのまま残れば」という声もありましたが、自分の力で活動領域を広げようと思い切って退社しました。

エンジェル投資に興味

ーー芸人引退後、どのような活動をされる予定ですか。

投資事業の分野の先輩から、「半年くらいかけて、ゆっくり決めたら」というアドバイスをもらったので、今年いっぱいは色々なところに顔を出しながら、自分探しや、勉強をしていきたいです。己のライフワークとは何なのかを模索する感じです。

ちょうど今、村上世彰さんの『生涯投資家』(文藝春秋)を読了したところで、非常に感銘を受けたので、自分もこうありたいなと思ってます。

興味があるのが「エンジェル投資」の分野です。中小企業診断士の広報を見ていたら、会合のお知らせを見つけて、最近、参加してみました。

そこでは、会員が足で稼いできた情報がシェアされて、時には社長を連れてきてプレゼンが行われています。「ゆくゆくはIPOを目指していて、今はこういう資金需要があります」と言った具合に。

実際に投資するかの判断は、株式投資の経験や自分の中小企業診断士の資格が多少は役に立つかなと思ってます。非常にレベルが高いコミュニティなので勉強になっています。

事業自体にも興味があるので、ベンチャーに出資しながらハンズオンで支援、というのもやってみたいですね。

情熱があるなら、そのまま突っ走ろう

ーー芸人も然りで夢を追う生き方を選んでいる人たちがいます。そういった方たちへのアドバイスはありますか。

自分は夢敗れたタイプなので「敗軍の将、兵を語らず」ではあるんですけど、強いて言うなら、投資の世界では「損切りは早いほうがいい」とされています。

でも、今情熱を持って走ってる人は、そのまま突っ走るべきだと思います。もし、悩んでいるなら、世界は広いからいろいろ試す、それも可能性です。

僕の周りには才能ある仲間が多かった。しゃべりやクリエイトする能力に長けていた。それでもブレイクするかどうかは別の話となります。

そういう世界で血みどろになって戦っていかないといけない。それが出来る人は、カッコイイし、そうありたい。一方で性格的に競合を避けたいという、投資家的な思考と言うか、葛藤もありました。

今日の食い扶持があると、芸人は夢を描きにくいのかもしれません。厳しい環境だからこそ、ハングリーであり、ブレイクして輝けるという面があると思います。だから、芸人として貫ける人は本当にカッコイイと思ってます。

ーーありがとうございました。

文・栗林篤/DAILY ANDS

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