試訳を準備した時に、多くの方が見落としてしまうことがあります。それが、表記に気を配ることです。

たとえば、「ひとつ」という言葉が、同じ文章の中で「ひとつ」「一つ」「1つ」と違う表記になっている。「?」を入れた後に全角スペースが1文字分必要なのに、スペースがないまま次の文につながっている……そういうミスをよく見かけます。

「細かいことだから、それほど気にしなくてもいいのでは?」と感じるかもしれません。だけど翻訳自体がよくできていても、表記に気を配れていないと、全体的な印象が悪くなります。評価がかなり下がってしまうのです。このあたりの感覚を理解していただくのはなかなか難しいものですが、しっかり把握していただきたいところです。たとえば、次のような状況を想像してみてください。

「重要なプレゼンをするために気合の入ったスーツを着てきているのに、思いっきり寝ぐせがついていて、クライアントにはその寝ぐせしか目に入ってこない」

「高級美容クリームを奮発してネット通販で買ったのに、届いたら箱がつぶれて容器にまで傷がついている」

いかがでしょう? これではせっかくいいプレゼンをしても内容が頭に入ってきませんし、せっかくの高級美容クリームも効果が半減する気がするのではないでしょうか。