今回は、アーティストの評伝を選んだIさんのその後の進捗をお伝えします。

B社の編集者さんからお返事がなかったので、新年度になって落ち着いたところで、お話をつないだ私からリマインドさせていただきました。その後しばらく時間がかかりましたが、連休明けにお断りのご連絡がありました。

とてもいい企画だと評価していただけたものの、販売価格や売り方の面で、B社では難しいとのことでした。たしかに、B社は類書を刊行してはいますが、そのジャンルの本を主に扱っている出版社ではありません。販路を持っている場合と違い、営業的に難しいのは納得できました。

ちなみに、B社には私が伝手になっていますが、伝手があったからといって企画が通るわけではありません。伝手をたどって持ち込むことをおすすめしているのは、あくまでもきちんと企画に目を通していただくためです。検討すらしていただけないことも多いので、まずはその土俵に上がるためなんですね。だけど検討の結果、通るかどうかは、結局は企画次第になります。正確には、企画と編集者さんや出版社とのマッチング次第です。

もし、すでに企画が通っていて、その下訳を任せてもらう、あるいは監修をしてもらって実質的な翻訳をすべて任せてもらう、ということであれば、伝手をたどって紹介してもらうことで、任せてもらえる見込みはかなりあるでしょう。

だけど、企画を通すとなると、また話は別なのです。伝手があるから企画が通るのは、その伝手になる方に出版社のほうでよほどの恩がある場合だけでしょう。たとえば、「倒産しそうだったときに、○○さんの持ち込んだ企画が起死回生の大ヒットになって、おかげで会社が持ち直した。○○さんは会社にとっては大恩人なので足を向けて寝られない」とか……まあ、誇大妄想気味のこの例からおわかりの通り(笑)、かなりレアケースです。なので、伝手があるからと安心せずに、しっかり企画を磨いていきましょうね。