長閑な環境での田舎暮らしは、憧れを抱く層が多いライフスタイルです。しかし、田舎暮らしの特徴をきちんと理解しないまま移住した場合、失敗に繋がる可能性もあります。この記事では、田舎暮らしのメリットとデメリットについて解説していきます。
移住する際の田舎暮らしの9このメリット
田舎エリアは、特に都市部で暮らす人々から人気の高い移住地です。独特のライフスタイルが魅力の田舎に住むことで、都市部では味わえないさまざまなメリットを得ることができます。田舎暮らしをするメリットは、以下の9つとなっています。
- 都会の慌ただしさを感じずゆったり生きられる
- 自然に囲まれて生活できる
- アットホームな人付き合いができる
- 家賃や物価が安く生活費を抑えられる
- 憧れの広い家に住むことができる
- 田舎ならではの仕事に就ける
- 新鮮な食材で食事を楽しむことができる
- 自治体の協力が厚い
- 感染症などのリスクを減らすことができる
田舎エリアには、人口の少なさや自然環境の良さによるメリットが溢れています。田舎暮らしに憧れを抱いている方は、移住後に得られるメリットについて理解を深めましょう。それでは、各項目について詳しく見ていきます。
都会の慌ただしさを感じずゆったり生きられる
田舎で暮らすメリットのひとつが、のんびりとした生き方ができる点です。土地開発などが進んでいない田舎エリアには、都市部とは違った時間の流れがあります。忙しなさや慌ただしさとは無縁の雰囲気となっており、物や情報が少ない環境に身を置いて暮らせます。
マイペースでストレスフリーな生活を送ることができるため、「都会での生活に精神的な余裕を失ってしまっている」「静かな場所でもっと人間らしいのびのびとした生き方をしたい」という方にとって暮らしやすい場所です。
また、都市部のような慌ただしさがない田舎エリアには、子どもの個性を伸ばしやすいというメリットがあります。
不必要な競争意識を持ちにくい環境で育てられることから、子どもの良いところを存分に伸ばす教育を取り入れやすい移住地です。自分自身や子どもが穏やかに生きられる場所に移住したい方は、田舎暮らしを視野に入れてみてはいかがでしょう?
自然に囲まれて生活できる
田舎移住は、自然の豊かさを感じながら暮らしたい方におすすめです。人里離れた田舎エリアには、山、森林、海、川、湖をはじめとする壮大な大自然が残っています。人の手が加わっていないありのままの自然環境を身近に感じられるので、澄んだ空気や美しい自然景観の中で癒しの日々を過ごせます。
また、自然が多いエリアで暮らす場合、自給自足がしやすい点も特徴です。現地住民向けに田畑や農地の貸し出しを行っている自治体も多く、畑仕事に挑戦しやすい環境が整っています。自然の風土を活かしながら農作物を育てられるため、「自給自足しながら田舎暮らしするのに憧れている」「畑仕事を通して田舎暮らしの醍醐味を感じたい」と考えている方にピッタリの移住地です。
アットホームな人付き合いができる
田舎暮らしのメリットに、アットホームな人間関係を築ける点が挙げられます。田舎エリアは、都市部よりも住民同士の繋がりが強い傾向にあります。自治会、祭り、地域貢献活動などが頻繁に行われている自治体も多く、家族ぐるみで交流する機会も豊富です。
子どもの成長なども地域全体で見守る雰囲気が出来上がっていることから、アットホームな人付き合いを求める方におすすめの移住地です。現地の人たちと強い繋がりを持つことで、不慣れな場所でも快適な移住生活を送ることができます。家族全員がいち早く移住地に馴染めるので、疎外感とは無縁の田舎暮らしを楽しめます。
家賃や物価が安く生活費を抑えられる
田舎暮らしをするにあたって、生活費の節約ができるというメリットがあります。都市部と田舎エリアを比較した場合、田舎エリアの方が安く暮らせるというのが一般的です。田舎エリアにおける住宅費や食費などの物価は都会よりも安く、総合的な生活費を大幅に抑えることができます。
月々の出費を減らせることから、「子どものためにも生活費を抑えながら暮らしたい」「田舎でお金のかからないシンプルな生活をしてみたい」という方にピッタリの移住地です。経済的な余裕がある生活を実現したい方は、精神的なゆとりも併せて手に入れられる田舎への移住を検討してみてはいかがでしょう?
憧れの広い家に住むことができる
田舎暮らしをするメリットに、広い住宅に住めることが挙げられます。人口密度が低い田舎エリアには、土地代が安いという特徴があります。都市部とは比較にならないほどの低価格で住宅を貸借・購入できるので、「狭苦しい都会の家で暮らし続けるのは嫌だ」「広々とした家でスペースにゆとりがある暮らしをしたい」という方に最適です。
また、移住する自治体によっては、広い庭や農地付きの住宅をリーズナブルに取得することもできます。ガーデニングや家庭菜園なども楽しめることから、広い家で植物や野菜たちとふれあいながら暮らしたい方にピッタリのライフスタイルです。
田舎ならではの仕事に就ける
田舎特有の仕事に興味がある方は、田舎への移住を検討してみましょう。自然の多い田舎エリアは、第一次産業が盛んな傾向にあります。農業、林業、漁業といった移住地の自然環境に合う仕事が多く、自然と共存しながら生活していることを実感できます。
また、観光地として賑わうエリアの場合、民宿やゲストハウスで働くこともおすすめです。ゲストとのコミュニケーションを通して、移住地の良さを日常的に再確認することができます。田舎暮らしを機にキャリアチェンジを考えている方は、自身が希望する仕事に就きやすいエリアを選ぶよう心掛けましょう。一口に田舎と言っても、需要のある仕事は自治体によって大きく異なります。都市部とは全く違ったライフスタイルを実現するためにも、自身が就きたい田舎ならではの仕事を見つけてください。
新鮮な食材で食事を楽しむことができる
田舎に移住するメリットのひとつが、現地生産の食材を日常的に味わえる点です。都市部から離れた田舎エリアには、海、山、田畑、水田といったさまざまな自然環境が広がっています。海が近い場所では魚介類、田畑のそばでは農作物というように、現地で育った食材が豊富という特徴があります。
そして、地元で生産された食材や加工品は、市町村内の直売所や市場で安く販売されることが一般的です。鮮度の高い良質な食材を低価格で手に入れられるので、「新鮮な食材で栄養バランスの摂れた健康的な食生活を目指したい」「質の良い食材をリーズナブルな価格で買える場所に住みたい」という方におすすめの移住地です。食費を抑えられるという経済的なメリットも大きく、身体と家計に優しい暮らしを実現できます。
自治体の協力が厚い
田舎暮らしには、自治体のサポート体制が整っているというメリットがあります。人口が少ない田舎では、移住者を増やすための支援活動に力を注ぐ自治体が多く存在します。移住に関する相談、お試し移住体験のサポート、補助金制度といった多彩な支援を行っているので、スムーズかつ快適な移住生活を送れる点がポイントです。
人口密度が高い都市部の場合、移住者に関するサポートを全く行っていない自治体が多い傾向にあります。補助金制度なども充実していないため、経済的メリットを感じることはできません。一方、田舎エリアで暮らす場合は、自治体の協力を受けながら暮らすことができます。移住前の準備から移住後のアフターケアまでしっかりとサポートしてもらえるので、精神的にも経済的にも負担の少ない田舎暮らしに繋がります。
感染症などのリスクを減らすことができる
感染症リスクを減らせる点も、田舎へ移住するメリットのひとつです。「コロナ禍における移住の意識調査」によると、2020年の新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、地方への移住を検討する層は88%をマークしています。そのうちの約50%は感染症リスクを移住検討の理由に挙げており、人口密度が低いエリアへの移住を考えている層が多いことが分かります。
人が少ない田舎エリアは、公共交通機関や生活利便施設が混雑しにくい点が特徴です。都市部よりもソーシャルディスタンスを確保しやすく、安心かつ安全な環境で暮らすことができます。そのため、新型コロナウイルス感染症はもちろん、さまざまな感染症予防に適した移住地となっています。感染症などのリスクを減らしたいと考えている方は、健康的な生活を守りやすい田舎暮らしについて考えてみるのがおすすめです。
田舎暮らしはメリットばかりではない?5つのデメリット
メリットが多い田舎暮らしですが、デメリットも存在します。以下は、田舎に住むことで感じるデメリット5つです。
- 娯楽施設や商業施設が少ない
- 進学先が少なく限られる
- 就職先が少なく転職がむずかしい
- 都会に比べて収入が減ってしまう
- 車での移動が必須となる
田舎エリアは、都市部よりも人口が少ないという特徴があります。そのため、娯楽施設、教育機会、雇用機会、収入が少ないといったデメリットが見られます。交通手段も限られることから、長期的な田舎暮らしに不向きな層もいることを覚えておきましょう。それでは、各デメリットの詳細を解説していきます。
娯楽施設や商業施設が少ない
田舎暮らしをするデメリットのひとつが、娯楽施設や商業施設の数が限られる点です。人口が少ない田舎エリアでは、娯楽施設や商業施設の需要が高くありません。そのため、ショッピング、飲食、遊び体験ができるスポットが極端に少ないということを覚えておきましょう。都市部で暮らす場合、さまざまな娯楽施設や商業施設に気軽に出かけることができます。
一方の田舎エリアでは、最寄りの施設が片道数時間というケースも多々あります。楽しめる場所が周辺に何もない暮らしとなるため、特に娯楽施設や商業施設の利用率が高い方は気を付けましょう。憧れの田舎暮らしとは程遠い、退屈な日常を送ることになるかもしれません。
進学先が少なく限られる
田舎暮らしをする際は、進学先が限定される点に注意が必要です。人口の過疎化が激しい田舎エリアは、教育機関の数が少ない傾向にあります。小中高で市町村内の選択肢が1つずつしかないケースも多く、希望通りの進路に進みにくい環境です。
また、田舎になればなるほど都市部からのアクセスも悪くなるため、通学範囲が限られるというデメリットもあります。進学先の絶対数が少ない田舎エリアへの移住を考えている方は、子どもにハイレベルな教育を受けさせることが難しい、教育機会が狭まるという点を意識しましょう。もし進学先の選択肢を広げたい場合は、都市部からのアクセスが良好な場所に移住するのがおすすめです。
就職先が少なく転職がむずかしい
田舎暮らしをする場合、雇用先が限られる点に注意しましょう。田舎エリアには、働き口が少ないというデメリットが見られます。選べるほどの求人数が出ていないことも多く、転職が難しいという特徴があります。田舎暮らしを成立させる上で、転職先を確保することはとても重要です。収入が不安定な状態では、経済的に苦しい生活を余儀なくされるのはもちろん、精神的負担も大きくなってしまいます。
常に不安やストレスを抱えた移住生活となるため、注意が必要です。田舎暮らしを検討中の方は、移住先の雇用状況や企業数などを事前にチェックするようにしましょう。現地の雇用機会を確認することで、移住後の転職活動がスムーズに進むか否かを判断しやすくなります。
都会に比べて収入が減ってしまう
田舎で暮らすデメリットに、収入の減少が挙げられます。都市部と田舎では、都市部の方が高給というケースが一般的です。2022年4月に発表された「都道府県別の平均年収調査」によると、最も平均年収が多いのは東京都の5,849,300円です。
次いで神奈川県、愛知県、大阪府、兵庫県、京都府となっており、それ以下の都道府県は全国の平均年収である4,893,100円を下回っています。上位を都市部が占領している一方で、下位に地方エリアが集中している点もポイントです。
41位から順に佐賀県、岩手県、鳥取県、秋田県、宮崎県、青森県、沖縄県となっており、田舎エリアの平均年収が都市部よりも低いことが分かります。そのため、田舎暮らしのスタートに伴い、収入が減る可能性について十分考慮するよう心掛けましょう。地方で需要の高い仕事といった例外を除き、都市部よりも少ない給料で暮らす可能性が高くなっています。
車での移動が必須となる
田舎暮らしには、車移動がメインになるというデメリットが存在します。都市開発が進んでいない田舎エリアの場合、市町村内に生活利便施設が全くないケースも多々あります。また、辺鄙な場所に設置されている、公共交通機関が充実していないといった理由から、日常的に車移動を余儀なくされる点に注意しましょう。
運転ができない方や車を所有していない方の場合、田舎での生活は困難なものになります。スーパー、商業施設、銀行、郵便局、医療機関、駅といった生活に深く関わる場所へのアクセスを失うため、不便さを伴う田舎暮らしになってしまいます。