つみたてNISAは少額をコツコツと投資する制度です。そのため買う時期を考える必要はなく、投資初心者の方でも比較的始めやすいでしょう。難しいのは始める時よりもむしろ「いつ売るか」です。今回は売ってはいけないタイミングと、売るタイミングに関する3つのルールをご紹介します。

つみたてNISAは「いつでも」「いくらでも」売却が可能

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(画像=SB /stock.adobe.com)

つみたてNISAで投資をすると、最長20年間非課税で運用できます。積み立てている資産は、普通の証券会社の課税口座で運用する株や投資信託と同じで、いつでも、またいくらからでも売却できます。

つみたてNISA勘定で購入されたETFや株式投資信託は、いつでも売却できます。
出典:金融庁「つみたてNISA Q&A」

運用益が非課税でも、 売買のタイミングに制限がかかることはありません。

よく比較されるiDeCoでは原則として60歳まで引き出すことはできませんので、自由に売買できるという点ではつみたてNISAの方が優れていると言えます。

つみたてNISAの売却を考えた時の注意点

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つみたてNISAで難しいのは、買うタイミングより「売るタイミング」です。自分が納得できる形で売るためにはそれなりの知識が必要です。ここではまず、売るタイミングで覚えておきたい注意点をご紹介します。

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(画像=fuelle編集部作成)

売却のタイミングは「つみたて開始時」に決める

定期預金や保険商品では満期が来たら自動的に運用は終わりますが、つみたてNISAで扱う投資信託は自分で売るタイミングを決めなければいけません。ここで大切なのは、「売るタイミングは積み立てを始める前に決める」ことです。

「できるだけ増やしたい」という曖昧な動機で始めると、いくら利益が出ても「もっと増えるはず」と欲が出て、そうこうしているうちに値が下がって売れなくなります。これはとてもよくある失敗の1つです。

したがって、「このタイミングになったら売る」というルールをしっかりと決めることが重要です。このおすすめのタイミングは後ほどご紹介します。

「長く所持し続ける」ことを心がける

少額をコツコツ積み立てるというつみたてNISAの性質上、 長く続けた方が損をする可能性は少なくなり、利益は増えていく傾向にあります。いつでも売れるからといって少し利益が出たら売ったり、損をしそうだからと売ったりしていては、資産は増えていきません。

そもそも投資というものは余剰資金で行うものです。そのため短期的な損益を気にする必要はありませんし、つみたてNISAを初めて数ヵ月〜数年で売却を考えなければならないのなら、はじめの積立額の設定に無理があったのかもしれません。

投資商品と積立額を決めて一旦始めたら、あとはほったらかしでもいいというぐらいの気持ちで、基本的に10年以上は積み立てを続けましょう。
松岡紀史(ライツワードFP事務所代表)

暴落時に焦って売却しない

積み立て投資では、暴落している時こそ買い続けることが大切です。なぜなら、投資信託の値段が下がっている時は、同じ積立額でもより多くの口数を買えるからです。例えば、同じ3万円の積立額でも、投資信託の値段が2,000円の時は15口しか買えませんが、500円に下がると60口買うことができます。

暴落時に多くの口数を買い続けることで、値段が上昇した時、売ることができる投資信託の口数が多くなる、つまり利益が大きくなるのが期待できるのです。
松岡紀史(ライツワードFP事務所代表)

自分が運用している投資信託が暴落すると、慌てて売ってしまう人がいます。これは投資初心者の人だけでなく、投資に対して知識があり「TOPIXなどの経済指標に連動するタイプは、長い目で見れば上昇と下落を繰り返すもの」ということを知っている人にも当てはまります。

なぜならいざ価格が暴落すると、「日本は借金も多いし、株価はもう2度と元に戻らないかも」と悲観的になって、株価が回復することが信じられなくなるのです。

しかし つみたてNISAではこの焦りは禁物です。「暴落している時こそ買い続ける」というポイントを忘れずにいましょう。

つみたてNISAを売却する「おすすめのタイミング」

前述したように売却するタイミングは投資を始める時にしっかりと決めておいたほうがいいです。そこでここからは、売却するのにおすすめのタイミングを3つご紹介します。

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(画像=fuelle編集部作成)

目標金額に達した時

つみたてNISAだけでなく、投資をする時には目標を設定することが大切です。目標は「できるだけお金を増やしたい」などの漠然としたものではなく、「家族で海外旅行のために5年以内に100万円」や「住宅ローンの頭金のため、15年後に400万円」というように、できるだけ具体的に決めましょう。

目標金額を決めたなら、つみたてNISAの運用額がその目標金額を達成した時に売ればいいのです。

ただし目標金額を適当に決めてしまうと、いざ目標金額を達成しても、もう少し値上がりしたら「もっと豪華な旅行に行ける」「老後に余裕が出るかも」などと判断がブレてしまいます。

また月々2万円しか積み立てていないのに、「10年後に1,000万円」などと現実的でない目標を設定しても、売却タイミングはやってこないでしょう。

後々後悔しないように、目標はしっかりと決めることが大切です。
松岡紀史(ライツワードFP事務所代表)

運用資産の利回りが○○%になった時

金額ではなく、元本からいくら増えたのか、利回りを目標にするのも一つの方法です。例えば目標の利回りを150%に設定したとすると、元本が500万円の場合は750万円を超えたら売却することになります。

これはせっかく投資しているのだから、最低限の利益は確保したいという人におすすめの方法です。

ただし利回りを目標にする場合、5年で50%達成するのと20年で50%達成するのでは大きく異なります。できれば、5年後に10%、10年後に20%…、などのように、実現可能な目標を期間に応じて設定しましょう。

老後資金が必要になった時

つみたてNISAを老後資金のために始める人にとって、老後に売却するのは適切なタイミングだといえます。

ただしよっぽど運用がうまく行っている時以外は、一度に売却せず複数回に分けるのがおすすめです。例えば老後の生活費として1年毎に資産を切り崩す場合、運用がプラスならつみたてNISAの資産を、運用がマイナスなら貯金や国債などの安全資産を売却すると、つみたてNISAの売却時に常に利益が期待できます。

複数回に分けて切り崩すことは、急なインフレに備えることができるという点でもメリットがあります。現在は平均寿命が伸びているので老後といっても20年30年と続くことも珍しくありません。その間に最も困るのが、世の中の物価が急激に上がるインフレです。

つみたてNISAで運用する投資信託は、預貯金などと違い、ある程度インフレに連動する動きをすると言われています。したがって一気に売却せず、つみたてNISAの資産を残しておくことは、インフレ対策にもつながるのです。

売却タイミングは事前にしっかりと検討しましょう

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(画像=naka /stock.adobe.com)

つみたてNISAはとてもメリットが多い制度です。しかし貯金や債券と違って「満期」がないため、自分で売るタイミングを決めなければならないのが難しい点です。暴落した時に売ってしまったり、値上がりを期待していたらタイミングを逃してしまったりという失敗は避けたいもの。失敗しないためには事前にしっかりと現実的な目標と売却のタイミングを決めておくことが大切です。今回ご紹介した3つのタイミングを参考に、適切なタイミングで売却しましょう。

つみたてNISAの売却について Q&A

Q

A
つみたてNISAは売却できる?
つみたてNISAはいつでも、またいくらからでも売却できます。運用益が非課税のつみたてNISAですが、売買のタイミングに制限がかかることはありません。

Q

A
つみたてNISAの売却で注意点は?
売るタイミングで覚えておきたい注意点は3点あります。「売るタイミングは積み立て開始時に決める」こと、「長く所持し続ける」こと、「暴落時に焦って売却しない」ことです。

Q

A
つみたてNISAの売却タイミングはいつがいい?
つみたてNISAの売却におすすめのタイミングは、「目標金額に達した時」、「運用資産の利回りが○○%になった時」、「老後資金が必要になった時」です。

松岡紀史
筑波大学経営・政策科学研究科でファイナンスを学ぶ。20代の時1年間滞在したオーストラリアで、収入は少ないながら楽しく暮らす現地の人の生活に感銘を受け、日本にも同様の生活スタイルを広めたいという想いから、 帰国後AFPを取得しライツワードFP事務所を設立。家計改善と生活の質の両立を目指し、無理のない節約やお金のかからない趣味の提案などを行っている。
筑波大学経営・政策科学研究科でファイナンスを学ぶ。20代の時1年間滞在したオーストラリアで、収入は少ないながら楽しく暮らす現地の人の生活に感銘を受け、日本にも同様の生活スタイルを広めたいという想いから、 帰国後AFPを取得しライツワードFP事務所を設立。家計改善と生活の質の両立を目指し、無理のない節約やお金のかからない趣味の提案などを行っている。

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