「つみたてNISA(ニーサ)」という制度を聞いたことがありますか?つみたてNISAは、2018年1月からスタートした制度で、税金が掛からず有利に資産運用ができるというものです。2019年6月時点で約150万人の方が利用しています。

つみたてNISAは確かに有利に運用できる制度なのですが、いくつかルールがあり「結局どんな制度なの?」と思う方は多いでしょう。似たような制度もあり、少しややこしいと感じる方もいるかもしれません。そこで、この記事ではつみたてNISAの仕組みを基本から徹底解説していきます。

つみたてNISAってどういう制度?

(写真=maybeiii/Shutterstock.com)

つみたてNISAがどういうものなのか、概要を確認しましょう。

少しずつ投資信託を買っていく制度

つみたてNISAとは、投資信託を定期的に少しずつ買っていく制度です。

投資信託とは金融商品の1つです。たくさんの投資家からお金を集め、そのお金を株式などのさまざまなリスク資産で運用し、運用の成果を投資家に分配する仕組みを持っています。

複数のリスク資産で運用する「分散投資」が特徴で、1つのリスク資産に集中投資するより低いリスクで運用することができます。1つのまとまった資金を専門家が運用しますから、個人では投資しにくい海外資産などにも簡単に投資できます。

投資の利益はすべて非課税

投資信託の運用で得られた利益は投資家に分配されますが、通常はその際に約2割の税金が掛かってしまいます。利益が10万円なら約2万円が引かれ、手取りは約8万円です。

しかし、つみたてNISAを使えば、この税金が掛かりません。利益がそのまま手取りになるので効率的にお金を増やすことができます。

買いの手数料は無料!保有中も低コスト

つみたてNISAで投資できるのは金融庁の認可を受けた投資信託だけです。金融庁の認可は、長期投資に向くような投資信託に限定するため、特にコスト面には厳しい条件が付いています。そのため、つみたてNISAは低コストで運用することができるのです。

そもそも、投資信託には3つのコストがあり、買うとき(販売手数料)、持っているとき(主に信託報酬)、売るとき(信託財産留保額)にコストが発生します。つみたてNISAではすべて販売手数料が無料で、信託報酬も一定以下の安いものに限定されています。

つみたてNISA対象の銘柄のうち、売るときのコストである信託財産留保額が設定されている投資信託は少ないですが、一部の投資信託では設定がありますので事前に確認しておきましょう。

なお、つみたてNISAでは「ETF(上場している投資信託)」を買うこともできますが、ETFの場合は各証券会社が定める売買手数料が掛かるので注意が必要です。

つみたてNISAって一般NISAやiDeCo(イデコ)とどう違うの?

つみたてNISA 一般NISA iDeCo
非課税期間 20年 5年 60歳まで
(給付まで)
投資可能額 40万円/年 120万円/年 27.6万円or24万円or
14.4万円/年
(自営業者は
81.6万円/年)
最低投資額 100円/月
(金融機関による)
100円/1回
(金融機関による)
5,000円/月
解約・出金 いつでもできる いつでもできる 60歳まで不可
投資できるもの 投資信託 株式
投資信託
定期預金
個人年金保険
投資信託
所得控除 なし なし 掛金が所得控除
制度の併用 どちらか1つを選択
(※年ごとに選ぶことは可能)
NISAと併用可能

つみたてNISAとよく似ている制度に「一般NISA」や「iDeCo(イデコ。個人型の確定拠出年金のこと)」があります。運用の利益に税金が掛からないという点は、3制度に共通しています。しかし、非課税で運用できる期間はそれぞれ異なり、一般NISAは5年間、つみたてNISAは20年間、iDeCoは60歳までです。

つみたてNISAより自由な「一般NISA」

一般NISAはつみたてNISAより「投資できる商品」「金額」「投資タイミング」の3つの面で自由度が高くなっています。

つみたてNISAは投資対象が金融庁認可の投資信託に限定されています。認可を受けていない投資信託には投資できませんし、個別の上場株式にも投資できません。一方、一般NISAの場合は、債券以外のものであれば投資することが可能です。上場している株式にも投資できますし、金融機関が取り扱っている投資信託なら金融庁の認可のないものであっても基本的に投資できます。

投資できる金額も一般NISAの方が大きく、つみたてNISAでは年間40万円までしか投資できないところ、一般NISAは年間120万円まで投資が可能です。最低投資額は金融機関によって異なりますが、100円から投資できるネット系証券会社もあります。

さらに、一般NISAなら投資したいときだけ投資することができます。つみたてNISAは定期的な買い付けに限定されているため、投資したくないときも基本的に継続的に買っていきます。つみたてNISAも積み立てを停止すればタイミングを選べなくもないですが、より自由度が高いのは一般NISAだといえるでしょう。

一般NISAとつみたてNISAは共にいつでも解約が可能です。投資している商品を売却すれば現金化できます。

なお、一般NISAとつみたてNISAは、同じ年に併用ができませんので注意しましょう(iDeCoは併用できます)。

制限が多いけど節税が強力な「iDeCo」

iDeCoにはさまざまな制限がある一方、強力な節税効果があるのが特徴です。

まず、iDeCoも2つのNISA同様に非課税で運用できますが、「60歳まで解約できない」「年間の投資額の上限が低い」という制限があります。

特に60歳まで解約できないという点には注意したいところです。iDeCoは老後の備えのための制度であることから、60歳になるまでの支出に充てることはできません。また、自営業者でない限り、年間に投資できる額がそう高くなく、老後資金のすべてをiDeCoだけで補填すると考えるのはあまり現実的ではないでしょう。あくまでも補完的に使っていきたい制度です。

iDeCo最大のメリットは、投資額のすべてが所得控除になる点です。所得税の最低税率は5%で、住民税(所得割)は概ね10%です。つまり、働いていて所得が発生している方なら最低でも年に投資額の15%は節税できます。毎年15%のリターンが発生するのと同義で、強力な節税策になります。

この制限と節税効果の2つのバランスを慎重に考え、利用を検討しましょう。

つみたてNISAにはどんなメリットがあるの?

(写真=Moobin/Shutterstock.com)

つみたてNISAは非課税で運用できるという点のほかにも、さまざまなメリットがあります。

初心者でも投資商品が選びやすい

簡単に触れましたが、つみたてNISAの対象銘柄は金融庁が事前に選別しています。投資信託選びが難しい投資初心者にとっては利点があるといえるでしょう。

金融庁によると、日本の投資信託はアメリカと比べると運用成績が良くない銘柄が多い状況となっています。知識がないまま投資信託を選ぶとそういった投資信託を買ってしまいかねません。

つみたてNISAは最初から長期投資に向く銘柄に限定されていますから、ある程度知識不足をカバーできます。もちろん最低限の知識はほしいところですが、投資初心者にはメリットがある制度といえます。

非課税期間が長く複利を利用しやすい

年間12万円(月に1万円)の積み立て投資で、年間3%のリターンがある場合
3年目 5年目 10年目 15年目 20年目
投資した額 36万円 60万円 120万円 180万円 240万円
積み立て額 約37万円 約64万円 約138万円 約223万円 約322万円
利益率 +2.8% +6.7% +15% +23.9% +34.2%

投資で得られた利益で再び投資すると、新たに投資した分からも利益が発生します。これを「複利運用」といい、効率的な運用が期待できます。投資信託は運用で得られた利益を自動的に再投資しているので複利運用です。

複利運用は、運用の期間が長期になるほど利益が大きくなる特徴があります。上の例では5年目から10年目の5年間で8.3%利益が増えましたが、15年目から20年目の5年間では10.3%も利益が増えているのがわかります。

投資信託の中には「分配金」として運用の利益を投資家に頻繁に還元するものがあり、このタイプは複利運用の効果が弱くなります。つみたてNISAは分配の頻度が少ない銘柄に限定されていますから、複利運用の効果を得やすい点が特徴です。

また、つみたてNISAは20年間という長い非課税期間があるため、複利運用をより効率的に行いやすいというメリットがあるでしょう。

「放っておく」投資だから忙しくても利用できる

つみたてNISAは相場の状況に関係なく定期的に投資信託を買っていく制度です。つみたてNISAを始めた後は基本的に放っておき、長期的な資産の形成を図ります。

相場を読みながら投資するのが難しい投資初心者の方や、普段忙しい社会人でも取り入れやすいといえるでしょう。

時間の分散の効果も

投資信託の価格の推移 1ヵ月目 2ヵ月目 3ヵ月目 4ヵ月目
1万円 5,000円 1万5,000円 1万円
一括投資 投資額 40万円
投資口数 40口
資産額
(損益)
40万円
(±0)
20万円
(▲20万円)
60万円
(+20万円)
40万円
(±0)
積み立て投資 投資額
(累計)
10万円
(10万円)
10万円
(20万円)
10万円
(30万円)
10万円
(40万円)
投資口数
(累計)
10口
(10口)
20口
(30口)
6.7口
(36.7口)
10口
(46.7口)
資産額
(損益)
10万円
(±0)
15万円
(▲5万円)
55万円
(+25万円)
46.7万円
(+6.7万円)

投資信託を長期的・継続的に一定額を買い続けるメリットは「放っておける」だけではありません。むしろ利益が大きくなる可能性もあるのです。この投資戦略を「ドルコスト平均法」といいます。

投資信託の価格が高いときも安いときも同じ金額だけ定期的に買い続けることで、買い単価が平均化され、「高いときに買ってしまった」という失敗を防ぐ効果が期待できます。

投資額を一定にすることにも意味があります。投資信託は「投資額÷投資信託の価格」で計算された口数を保有することになりますが、投資信託の価格が高いときは少ない口数を、安いときは多い口数を買うことになり、口数が自動的に調整されるのです。

上の例を見てみると、一括投資では40口しか買えていません。一方積み立て投資では46.7口を保有することができていますね。

投資信託の価格が右肩上がりに上昇するなら、最初に一括で投資した方が、利益が大きくなります。しかし、投資信託がどのような値動きになるかは事前にわかりません。ドルコスト平均法を活用することで、長期的な運用効果が高まるといえるでしょう。

つみたてNISAのデメリットは?

(写真=PIXTA)

メリットの多いつみたてNISAにも、もちろんデメリットはあります。実際に購入する前には注意点もしっかり押さえておきましょう。

銘柄が限定的

つみたてNISAでは投資対象が金融庁によって事前に選別されており、銘柄選びができない方にとってはメリットだとお伝えしました。しかし、より自由に銘柄を選択したいという方にはデメリットになるでしょう。

つみたてNISA対象の投資信託は金融庁が指定する一定の条件をクリアしていますが、言ってしまえば無難な銘柄が主な対象となっています。運用成績などの基準はなく、「より積極的な運用をする銘柄を選びたい」という方には物足りない内容になっているかもしれません。

銘柄の対象が広い一般NISAか、あるいは通常の課税口座であれば銘柄をより自由に選択することができます。

投資しない月を選べない

つみたてNISAでは継続的な積み立て投資に限定されているので、基本的に投資タイミングを選ぶことができません。「今月は生活費が苦しいから投資しない」ということができず、投資したくないときも継続的に投資信託を買っていきます。

ドルコスト平均法を考えれば、継続的に買い続けることはデメリットだけではありません。しかし、「投資タイミングは選びたい」という方にはデメリットとなるでしょう。投資タイミングを自分で判断したい場合は一般NISAか通常の課税口座を選択しましょう。

上限が少額

つみたてNISAで投資できるのは年間で40万円までです。この点は、満期となった定期預金やボーナスなど、ある程度まとまった資金を運用したいという方にはデメリットになります。

一方、一般NISAは年間に120万円まで投資できます。まとまった資金がある場合は、いずれかのNISAを上限まで使用し、残りは通常の課税口座で運用するという方法が選択肢になるでしょう。

損益通算ができない

A投信で+10万円、B投信で▲10万円となった場合
①どちらも課税口座 税金は0
(A投信とB投信の損益を通算し、利益0)
②A投信はNISA口座、B投信は課税口座 税金は0
(A投信はNISAで非課税。
B投信はマイナスで税金0)
③A投信は課税口座、B投信はNISA口座 約2万円の税金が掛かる
(A投信の利益に課税。
B投信はNISAなのでマイナスを通算できない)

つみたてNISAと一般NISAに共通するデメリットなのですが、NISA口座で発生した損失は他の資産と損益通算ができません。

2つの投資信託を持っている場合を考えてみましょう。A投信で10万円の利益、B投信で10万円の損失が出たと仮定します。2つを通算すれば利益が0ですから、通常の課税口座だと税金が掛かりません。しかし、NISA口座で発生したマイナスは損益通算ができないため、B投信がNISA口座であった場合、利益がないにも関わらず税金が発生してしまいます。

複数の資産運用をしている方にとって、NISA口座でマイナスが出てしまうとデメリットを強く感じてしまうでしょう。

所得控除の対象外

iDeCoの場合は投資額の全額が所得控除になります。資産運用で得られるリターンと節税によるリターンがiDeCoの魅力です。つみたてNISAの場合、投資額が所得控除になることはありません。

通常の課税口座で投資する場合でも所得控除とはなりませんから、つみたてNISAのデメリットとまでは言えませんが、iDeCoと比較すると見劣りしてしまうかもしれません。

iDeCoはつみたてNISAと併用できますから、どちらも利用するという選択肢もあります。資金的に余裕があるなら両方利用してみてはいかがでしょうか。

つみたてNISAって途中で辞めてもいいの?

(写真=noppawan09/Shutterstock.com)

「試しにやってみたいけど、後から止められるの?」という方もいるかもしれません。つみたてNISAは途中で止めることができます。積み立てていた投資信託は売却すれば現金に変えられますし、積み立て自体を停止することもできます。非課税期間は20年間ありますが、絶対に20年間投資し続けないといけないというわけではありません。

途中で止めてしまうデメリットに注意

つみたてNISAでは年間40万円まで投資できますが、この投資枠は一度使用すると投資信託を売却しても復活しません。売却金で別の投資信託を買っても、使わなかった非課税期間を利用できないのです。

また、時間の分散(ドルコスト平均法)や複利効果など、長期の積み立て投資で得られる効果が弱くなってしまう点にも注意しましょう。

一時的な損益は気にしない姿勢も大切

つみたてNISAを途中で止めてしまう理由はいくつかあるでしょうが、「損が出てしまった」という理由で止めてしまうことはおすすめできません。

長期の積み立て投資では、一時的な下落が必ずしもデメリットというわけではありません。ドルコスト平均法の効果は、投資信託の価格が下がるときにこそ発揮されるのです。価格が安いときには多くの口数を買えるので、後に価格が上昇すれば利益が大きくなります。

下落し続ける可能性がないわけではありませんが、一時的に損失となっても根気よく続けていくことをおすすめします。

売却ではなく積み立ての停止から検討

「資金的に積み立てを続けるのが難しい…」という方は、まずは積み立ての停止から検討することをおすすめします。つみたてNISAで買った投資信託はそのまま非課税で置いておき、新規の投資を停止する方法です。

つみたてNISAはせっかく20年という長い非課税期間が設定されています。複利効果も考えれば、長期の非課税期間を放棄してしまうのはもったいないことです。

もちろん急にお金が必要になるなど、売却がやむを得ない状況になる場合もあるでしょう。絶対に売却してはいけないわけではありませんが、安易な売却はできるだけ避けたいものです。

つみたてNISAでおすすめの金融機関は?

(写真=PIXTA)

つみたてNISAを始める際には、開設する金融機関を1社選ぶ必要があります。一般的には、どの金融機関を選んでも、つみたてNISAの基本の仕組みは同じです。非課税&低コスト運用はいずれの金融機関でも可能で、どこを選んでも非課税で運用できますし、販売手数料は0円です。

それでは、どのような基準で金融機関を選べば良いのでしょうか。ここでは、金融機関を選ぶ際に見るべきポイントをご紹介します。

取り扱い銘柄数の違い

金融機関を選ぶ時には、つみたてNISA対象の銘柄をどれくらい取り扱っているかを確認しましょう。つみたてNISA対象の投資信託は金融庁が選別していますが、各金融機関はその中から取り扱う銘柄を選択しています。したがって、取り扱いの銘柄が多い金融機関と少ない金融機関があるのです。

豊富な取り扱いがあるのはネット系証券会社です。金融庁が認可する166銘柄のうち、150銘柄前後の取り扱いがあるネット系証券会社もあります。一方、対面型の金融機関は取り扱いが少なくなります。最も多い対面型の金融機関でも約30銘柄しかありません。

豊富な選択肢から銘柄を選びたいならネット系証券会社が選択肢となるでしょう。

窓口で相談できるかどうか

つみたてNISAは長期投資に向く銘柄に限定されているとはいえ、相談しながら決めたい方もいるでしょう。

ネット系証券会社はつみたてNISAの取り扱いが多いものの、直接投資の相談をすることができません。一方、対面型の金融機関の最大の強みは、窓口で気軽に投資の相談ができるという点にあります。

対面型の金融機関は、ネット系に比べ手数料が高いデメリットがあります。しかし、つみたてNISAなら販売手数料は無料ですし、保有コストも一定以下の安い銘柄に限定されています。相談の内容をつみたてNISAに限れば、手数料が高いという対面型のデメリットを防ぎながら利用することが可能です。投資相談をしながらつみたてNISAを利用したい方は対面型を選択しましょう。

FPがおすすめする金融機関

つみたてNISA口座は「楽天証券」か「SBI証券」での開設がおすすめです。どちらもつみたてNISAの取り扱いが150銘柄を超えており、豊富な選択肢から選ぶことができます。

両社はどちらも投資信託の残高に応じたポイントプログラムを用意しています。投資信託を預けておけばポイントがもらえますのでお得に運用できるでしょう。

また、両社はつみたてNISA以外にも一般NISAやiDeCoも用意しています。計画に合わせて柔軟な対応が可能となるでしょう。

楽天証券なら楽天カード決済がお得

楽天証券ならつみたてNISAを楽天カード決済で利用するとよりお得です。積み立て金額の1%分のポイントを受け取ることができます。つみたてNISAは年間40万円まで利用できますから、最大4,000ポイント受け取れる計算です。

貯まったポイントは楽天グループのサービスに利用するほか、楽天証券で投資信託の買付代金に充てることができます。

楽天カードは発行手数料・年会費無料のカードもあります。つみたてNISAも販売手数料無料ですから、効率的にポイントを獲得できるサービスだといえるでしょう。

金融機関は後から変更できる

つみたてNISAの口座は1人1口座しか開設できないため、複数の金融機関に同時に開設することはできません。しかし、年が変われば金融機関を変更することが可能です。2019年はA銀行で、2020年はB証券でというように、毎年違う金融機関を利用することもできます。

金融機関の変更は、変更したい年の9月末まで、つみたてNISA口座を利用していないことが条件です。すでに使用していたり10月以降になってしまったりした場合は翌年分を変更しましょう。

つみたてNISAでおすすめの銘柄は?

(写真=PIXTA)

つみたてNISA口座を開設する金融機関を選んだら、次はどの商品に投資するか決めましょう。手数料が安い傾向があるインデックス・ファンドからおすすめの銘柄をご紹介します。

アメリカ株式に投資するものがおすすめ

連動する指数 投資信託の名前 信託報酬率
全米株式指数 楽天・全米株式インデックス・ファンド 0.162%
S&P500 eMAXIS Slim米国株式(S&P500) 0.0968%
NYダウ eMAXIS NYダウインデックスファンド 0.66%

投資先としておすすめなのがアメリカです。アメリカは世界最大の経済規模を持っており、GDPは約20兆USドル(約2,200兆円)です。2位中国の約14兆USドル(約1,540兆円)、3位日本の約5兆USドル(約550兆円)を大きく引き離しています。

人口も増加傾向にあります。国連によると、アメリカは2019年では約3億3,000万人の人口を持ちますが、2050年には約3億8,000万人まで増加が予想されています。経済規模や人口の推移から考え、投資先としては有力な選択肢になるでしょう。

アメリカだけに投資する投資信託はいくつかありますが、上記3銘柄をおすすめします。すべてアメリカの株式に連動するよう設計されているものです。

「全米株式指数」はアメリカのほぼすべての株式に連動するような指数で、大企業から中小企業までアメリカの上場企業全体に投資することができます。「S&P500」はアメリカの大企業500社、「NYダウ」はアメリカの大企業30社で構成される指数です。いずれもアメリカの大企業に投資することができます。

リスクを下げるなら複数の国に投資するものを

連動する指数 投資信託の名前 信託報酬率
先進国株式 ニッセイ外国株式インデックス・ファンド 0.10989%
新興国株式 SBI・新興国株式インデックス・ファンド 0.196%
全世界株式 SBI・全世界株式インデックス・ファンド 0.1102%

上記3銘柄は複数の国に投資する投資信託です。1つの国だけに投資するより分散投資の効果が高まり、リスクを下げる効果が期待できます。

「先進国株式」指数は、世界の中でも経済がある程度成長した国々の株式に連動する指数です。アメリカ、イギリス、フランスなどが代表的です。日本も先進国ですが、この指数の投資対象からは外れています。

「新興国株式」指数は、先進国以外の、これから成長していくと思われる国々の株式に連動する指数です。中国や台湾、インドなどが代表的です。これらの国で経済成長が進めば恩恵が受けられるかもしれません。

「全世界株式」指数は、先進国と新興国すべての株式に連動する指数です。国を選ばず、世界中に投資することができます。ただし、先進国の経済規模が大きいため、比重としては先進国の方が高くなります。

さらにリスクを下げるならバランス型も

投資信託の名前 信託報酬率
DCニッセイワールドセレクトファンド
(5資産に投資。安定型~株式重視型まで4コースあり)
0.154%
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型) 0.154%
ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型) 0.154%

バランス型投資信託は、株式以外のリスク資産にも投資する投資信託です。株式だけに投資するものよりさらに分散投資の効果が高まり、よりリスクの低い運用が期待できるでしょう。なるべく損をしたくない慎重派の方におすすめです。

バランス型は資産の数や比率がバラバラでさまざまな選択肢が考えられますが、ここでは信託報酬が低いものを表にまとめました。

バランス型の投資信託を選ぶときは「資産の数が多いほど、株式の比率が低いものほどリスクが下がる傾向にある」ということを覚えておくと便利でしょう。

低金利時代でもつみたてNISAで上手に資産運用を

金利が低い状態になり、銀行預金だけではお金がなかなか増えない状況になっています。「投資してみようかな…」と考える方は多いでしょう。

つみたてNISAには資産運用がうまくいくような工夫がたくさんあります。もちろんリスクはありますので慎重に判断していただきたいですが、投資のきっかけとしては有力な選択肢でしょう。投資デビューのきっかけに、つみたてNISAから検討してみてはいかがでしょうか。

文・若山卓也(ファイナンシャルプランナー)

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