NISAは取り扱い商品の数が豊富で、さらに投資方法には制限がありません。つみたてNISAやiDeCoが毎月コツコツと商品を買い続ける積立方式に限定されているのに対し、NISAはより積極的に自分で投資を行いたい人に向いていると言えるでしょう。

今回はNISA口座をどこで開設すればいいのか迷っている方に向けて、証券会社5社を「商品の豊富さ」でランク付けしました。

またNISAとはどのような制度なのか、メリットもあらためて解説していきます。

FPが選ぶ、NISA口座におすすめの証券会社ベスト5!

NISAは通常の証券口座は使えないため、「NISA専用」の口座が必要です。このNISA口座は一人につき1口座しか作れず、1年間は変更ができません。

そのため、どの証券会社でNISA口座を作るのかは、慎重に選びたいものです。

数多くある証券会社から一つに絞るのは難しいかもしれませんが、証券会社を選ぶ際は「自分が投資をする可能性がある商品」を幅広く取り扱っているかどうかが重要。つまり、「商品の豊富さ」に注目して選ぶことをおすすめします。

例えば将来性のある会社に投資して利益を得たいなら、高い利益を狙える「IPO(新規公開株)の実績」が大切ですし、積極的に分散投資を行いたいなら「投資信託の取り扱い本数」「外国株の取り扱い有無」などに着目するといいでしょう。

そこで今回は、「NISAで選べる商品の豊富さ」を比べて5つの証券会社をランク付けしました。

【FPから解説:IPOとは?】
IPOとは「新規上場株」や「新規公開株」と言われ、今まで上場していなかった会社が、株式市場に新たに株式を上場し、誰でもその会社の株を買えるように公開することを言います。

IPO投資では公開(発行)価格で新規上場株式を購入します。成長性が見込まれる企業の株式を購入できれば、公開初日で公開価格を大きく上回る初値がつくこともありますし、将来的な値上げ益も期待できます。

そのため「運用益が非課税」のNISAでは、IPOの取り扱い数はぜひチェックしたいポイントの一つです。

商品豊富なのはココ!NISAにおすすめ証券会社ベスト5

順位 証券会社 ココがおすすめ IPO実績
(2019年)
投資信託
取り扱い本数
外国株
1位 SBI証券
公式サイト
IPO実績数
ダントツ!
84社 2,570本
(2020年
10月時点)
2位 楽天証券
公式サイト
投資信託数
トップ!
26社
(NISA口座で
取扱なし)
2,694本
(2020年
12月時点)
米国・中国・
アセアン
3位 マネックス証券
申し込む
米国株は
3,000銘柄以上
48社 1,000本以上 米国・中国
4位 auカブ
ドットコム証券
「プチ株」で
非課税枠を
無駄なく使える
25社 1,000本以上
5位 松井証券
申し込む
商品数より
サポート体制
で選ぶなら
21社 1,000本以上

それぞれ詳細を紹介します。

1位「SBI証券」:NISA口座おすすめ度ナンバーワン!

ネット証券最大手のSBI証券は、NISA口座を開設する証券会社として一番のおすすめです。

✔︎IPO取扱数ダントツのトップ
IPOの取扱数では、SBI証券はダントツの多さ。2019年4月から2020年の3月までの上場会社92社中、SBI証券では93.5%とほとんどの会社の取り扱いがありました。

利益の出る可能性が高いIPO。運用益が非課税のNISA口座で、IPOの選択肢が多いというのは大きな魅力です。

✔︎外国株式もネット証券最多
SBI 証券のNISAは商品ラインナップが豊富です。特に外国株式についてはネット証券最多の9ヵ国の取り扱いがあり、多くの方の投資ニーズに応えてくれるでしょう。その他、投資信託の本数も2,570本と楽天証券に次ぐ多さとなっています。

【こんなところもおすすめポイント!】
✔︎取引コストは業界最低水準

NISA口座での国内株式手数料の売買手数料と海外ETF買付手数料(米国・中国・韓国)が恒久0円になったのに加え、投資信託も原則買付手数料無料のノーロード投資。取引コストは業界最低水準です。

✔︎Tポイントも貯まる!
対象となる投資信託の保有額に応じてTポイントが貯まります。

また、
- 通常の取引時間に加え、夜間(17時から23時59分まで)にもリアルタイムで取引できる
- 投資信託の買付が100円から可能
など、利用者に嬉しいサービスが整っています。

キャッシュバックキャンペーンを開催することもあるので、ぜひホームページなどで確認をしておきましょう!

SBI証券の詳細はこちら

売買手数料 国内株式売買無料、海外ETF売買無料、投資信託買付手数料無料
投資信託 2,570本
IPO 取り扱いあり。ネット証券最多の84社
ミニ株 取り扱いあり(名称:単元未満株)
外国株 アメリカ、香港、韓国、ロシア、ベトナム、インドネシア、
シンガポール、タイ、マレーシア

2位「楽天証券」:充実の投資信託数!すべてNISA対象

楽天証券を2位に選んだ理由は、投資信託の数の豊富さです。

✔︎豊富な投資信託数
楽天証券で取り扱う投資信託2,694本がすべてNISA対象。これは今回紹介している5社の中でトップの本数です。

投資信託は100円から購入できるものもあるので、NISAの「120万円」という投資枠を使い切りやすいというメリットがあります。楽天証券のように投資信託の選択肢が多くあるというのは、NISA口座を選ぶ際に重要なポイントだと言えるでしょう。

✔︎外国株も購入可能
米国・中国・アセアンの外国株を購入できます。中でも米国株式数は2,960銘柄!分散投資したいと考えている人にもおすすめです。

投資信託、外国株ともに充実している楽天証券のNISAですが、IPOはNISAでは対象外な点には注意しましょう。

【こんなところもおすすめポイント!】
✔︎豊富なラインアップが手数料無料

国内株式、投資信託の売買手数料は無料。さらに海外ETFの買付手数料も全額キャッシュバックされます。

✔︎楽天ポイントが貯まる&投資に使える!
投資信託の引き落とし方法として「楽天クレジットカード」を選べば、決済額100円につき1ポイント付与されます。

さらに、貯まった楽天ポイントで投資信託・国内株式の購入ができる「ポイント投資」も楽天証券独自の特徴。楽天ポイントユーザーには特におすすめの証券会社です!

楽天証券の詳細はこちら

売買手数料 国内株式売買無料、投資信託買付手数料無料
投資信託 2,694本
IPO 取り扱いなし
ミニ株 取り扱いなし
外国株 アメリカ、中国、アセアン、海外ETF

3位「マネックス証券」:米国・中国に興味があるならココ!

マネックス証券は、業界No.3のネット証券。本ランキングでも3位としました。強みは何と言っても外国株、特に米国株・中国株の取り扱い数にあります。

✔︎米国株、中国株は合わせて5,000銘柄以上!
マネックス証券では米国株は3,000銘柄以上の取り扱いが!さらに中国株は香港証券取引場に上場しているほぼ全銘柄を取り揃えているのも強みです。米国・中国株に興味がある方にとって、選択肢が多いというのはやはり大きな魅力と言えるでしょう。

もちろん米中株だけでなく、1,000本以上の投資信託、IPO実績も48社とバランスの良さも兼ね備えています。

【こんなところもおすすめポイント!】
✔︎実質0円!手数料の安さが魅力

手数料が安いこともマネックス証券の特徴です。

国内株式の取引手数料が無料なのはもちろんですが、米国株や中国株を購入した時、約定代金に応じてかかる国内取引手数料も全額がキャッシュバック。実質0円で取引ができます。

✔︎マネックスポイントも貯まる
マネックス証券では株式の売買や投資信託の保有残高に応じて「マネックスポイント」という独自ポイントが貯まります。

このマネックスポイントは株式手数料に利用したり、Tポイントやamazonギフト券などの他のポイントサービスに交換したり、買い物や旅行に利用できます。

マネックス証券の詳細はこちら

売買手数料 国内株式売買無料、投資信託買付手数料無料、外国株買付時手数料無料
投資信託 1,000本以上
IPO 取り扱いあり(48社)
ミニ株 取り扱いあり(名称:ワン株)
外国株 アメリカ、中国

4位「auカブドットコム証券」:NISAでも1株から投資できる

✔︎少額投資「プチ株」もNISAでできる
「プチ株」と呼ばれる単元株未満の株もNISA口座で1株から買うことができます。手軽に投資を始めることができるのが魅力です。

NISAでは年間の投資額が「120万円」と決まっていますが、株の売買は本来100株単位なので、1銘柄を購入するだけで数十万円かかることもあります。しかし、プチ株を利用することによって120万円という枠を無駄なく使えたり、効率よく分散投資したりすることが可能になります。

✔︎積立投資の種類が豊富
毎月少額からコツコツとお金を積み立てる積立投資は、積立貯金の延長として始められるため人気のある投資方法です。

積立投資を行える商品は通常の証券会社であれば投資信託のみですが、auカブドットコム証券は先ほど紹介した「プチ株」を積み立てによって購入できるのも特徴の一つです。

【こんなところもおすすめポイント!】
✔︎ETFの売買手数料が無料

国内株式の取引手数料が0円のほか、カブドットコム証券が指定する8銘柄のETF(上場投資信託)の売買手数料も無料になります。

✔︎現物株式の取引手数料が最大5%割引になる「NISA割」
auカブドットコム証券でNISA口座を開設すると、特定口座や一般口座などのいわゆる「課税口座」での現物株式の取引手数料が最大5%割引になる「NISA割」が自動的に適用されます。

ただし、課税口座でのプチ株の取引は対象外になるので注意が必要です。

✔︎NISAの株式取引手数料は電話でも無料
auカブドットコム証券ではNISA口座で取引される国内株式の取引手数料は、ネットで注文しても電話で注文してもすべて無料です。

ネットでの取引が無料の証券会社はよくありますが、電話でオペレーターに発注する場合は手数料がかかることも。そのため、電話注文でも無料というのはネットの操作に慣れてない方には嬉しいサービス。ただし、プチ株の取引は対象外になります。

カブドットコム証券の詳細はこちら

売買手数料 国内株式売買無料、投資信託買付手数料無料
投資信託 1,000本以上
IPO 取り扱いあり(25社)
ミニ株 取り扱いあり(名称:プチ株)
外国株 取り扱いなし

5位「松井証券」:商品の豊富さよりもサポート体制を求めるなら

100年以上の歴史を持つ松井証券は、日本で初めてインターネットによる本格的な株式取引を開始した証券会社です。

✔︎IPO実績21社、投資信託1,000本以上
今回紹介した5社のうち、商品の豊富さという点では最下位になってしまった松井証券。とはいえIPO実績もあり、投資信託も1,000本以上揃っているので決して選択肢が少ないというわけではありません。

また「投信工房」という無料のロボアドバイザーで投資信託の組み合わせや運用について的確に提案してくれるので、「何をどう選んだらいいかわからない」という方にはぴったりの証券会社と言えます。

この「投信工房」では、8つの質問に答えるだけで一人一人に最適なポートフォリオを提案してくれます。ホームページから気軽に体験できるので、一度試してみてもいいでしょう。

【こんなところもおすすめポイント!】
✔︎手厚いサポート体制

松井証券で着目したいのは、サポート体制の手厚さです。コールセンターでのサポートもしっかりしているので、ネット取引が不安という人にもおすすめ。また、Q&Aなども充実しています。

どのような投資スタイルの人でも安心して利用できるでしょう。

✔︎NISA国内株式取引手数料が恒久無料!
NISAの株式取引手数料が無料であるのに加え、投資信託の購入時手数料も無料で利用できます。

金融機関によっては売り買いのうち片方だけ無料であったり、キャンペーンなどで手数料無料期間が決まっていたりすることもありますが、松井証券では現在のところ恒久的に手数料無料としています。

松井証券の詳細はこちら

売買手数料 国内株式売買無料、投資信託買付手数料無料
投資信託 1,183本以上
IPO 取り扱いあり(21社)
ミニ株 取り扱いあり(名称:単元未満株)
外国株 取り扱いなし

※商品数や手数料などデータは、明記しているもの以外は2020年12月3日現在のものです。

NISAにおすすめの証券会社5つ

一通りの詳細をチェックしたところで、再度5社を比較しておきましょう。NISAで自分はどういった投資をしていきたいのかを思い浮かべながら証券会社を選んでみてください。

証券会社 ココがおすすめ IPO実績
(2019年)
投資信託
取り扱い本数
外国株
SBI証券
公式サイト
IPOの取り扱い数は
ダントツ!
84社 2,570本
(2020年
10月時点)
9カ国
楽天証券
公式サイト
投資信託数
トップ!
26社
(NISA口座で
取扱なし)
2,694本
(2020年
11月時点)
米国・中国・
アセアン
マネックス証券
申し込む
米国株は
3,000銘柄以上!
48社 1,000本以上 米国・中国
auカブ
ドットコム証券
「プチ株」で非課税枠
を無駄なく使える
25社 1,000本以上
松井証券
申し込む
商品数よりサポート
体制で選ぶなら
21社 1,000本以上

NISAのメリットを復習しよう

NISA口座を開設するにあたり、NISA のメリットをもう一度確認しておきましょう。

NISAで投資をすると税金面でお得

NISAは2014年に、少額からの投資を行う方のために始まった制度です。

普通であれば投資をして利益が出ると、その利益に対して20.315%の税金がかかります。ところがNISAで運用すれば5年間、その税金が非課税になります。

投資をして出る利益には「譲渡益」と「分配金」があり、NISAではそのどちらも非課税になります。

【譲渡益とは】
株や投資信託の値段が上がった時に売ることによって出る利益のことです。

例えば、ある株式を100万円で買い、5年後110万円になった時に売った場合、普通の証券口座であれば利益10万円に対して20.315%の2万315円税金がかかります。

つまり、実際に受け取れるのは7万9,685円になるのですが、これがNISAであれば税金がかからないので10万円そのまま受け取ることができます。

【分配金とは】
購入する株式や投資信託によっては毎年配当金が出るものがあります。例えばある投資信託を100万円分持っていて、毎年2万円の配当金を受け取れるとすると、通常であればその配当金2万円にも20.315%の税金がかかります。

NISAではこの配当金にかかる税金も非課税になるということです。

NISA は毎年120万円を5年間投資ができる

NISA口座では、毎年120万円分まで株や投資信託が買えます。

購入した金融商品を運用して出た利益が5年間非課税になるので、この120万円は非課税投資枠と言われます。

NISAでは非課税投資枠を利用できるのは最長5年なので、この非課税投資枠を利用して投資できる金額は最大600万円になります。

2024年からの「新NISA」、変更点を解説!

NISAは2024年から「新NISA」という新しい制度に変わります。ここでは、新NISAが現行のNISAからどのように変わるのか、基本的な内容を解説します。

「新NISA」のキホンを解説

まず、新NISAがどのような制度になるのか、現行のNISAと比較して見てみましょう。

下記の表を見てわかるように、新NISAでは「2階建ての制度」に見直されます。

新NISAの2階部分は現行NISAとほぼ同じ制度ですが、「より多くの国民に積立・分散投資による安定的な資産形成を促す」という目的から、2階部分を利用するには1階での積立投資を行う必要があります。

現行のNISA 新NISA
目的 成長資金の供給拡大 2階 成長資金の供給拡大
1階 安定的な資産形成
投資可能期間 2014年から2023年 2024年から5年間
年間の
投資上限額
120万円 2階 102万円
1階 20万円
非課税期間 5年間
(終了後ロールオーバー可能)
2階 5年間
1階 5年間
(終了後つみたて
NISAにロールオーバー可能)
投資対象商品 上場株式・
公募株式投資信託等
2階 上場株式・公募株式投資信託等
(一部除外あり)
1階 積立・分散投資に適した
一定の公募株式投資信託等
(つみたてNISAと同様)

ただし、現行のNISA口座を開設していた人や投資経験者が2階で上場株式のみに投資する場合、1階での積立投資は不要とされています。

投資商品に関しては、新NISAの1階部分で購入できるのはつみたてNISAの対象商品のみになります。2階部分では現行NISAの対象商品である上場株式、投資信託、ETFやREITなどを購入できますが、レバレッジを効かせているものや、上場株式のうち整理銘柄・監理銘柄は除外される予定です。

新NISAの疑問をQ&Aで解消!

新NISAでは何が変わるのか、現行NISAとのつながりや、2階建ての仕組みなど、よくある疑問をQ&A形式でまとめてみました。

Q.1階部分を使い切らないと、2階部分へ投資することはできない?

A.いいえ。1階部分の1部を利用していれば、2階部分の利用はできます。ただし、1階部分を使い切っていなくても2階部分の限度額は102万円のままです。

Q.今NISAを始めると2024年以降はどうなる?

A.基本的に現行のNISAの非課税期間は変わりません。2020年にNISAを始めた方は、5年間現行NISAの非課税枠で投資が可能です。

Q.今NISAを始めて5年後に新NISAにロールオーバーすることはできる?

A.できます。現行NISAでは非課税期間5年終了時、①課税口座に移管、②新たなNISA枠にロールオーバー、③売却、という選択肢がありますが、これは変わりません。

今始めた人は②の新たなNISA枠が新NISAの枠に変わるだけです。ただし、レバレッジを効かせているなど新NISAで対象外になる商品はロールオーバーできません。

Q.新NISAのロールオーバーはどうなる?

A.1階部分に関しては、5年の非課税期間終了後、つみたてNISAにロールオーバーが可能です。2階部分は今のところ非課税期間終了後に課税口座に移されることになっていますが、今後制度の変更が加わるかもしれません。新NISAスタートの2024年まで、アンテナを張っておくといいでしょう。

NISAの注意点やデメリット

口座は1人1口座まで

銀行口座や証券口座は1人で複数持つことができますし、実際に生活用口座や貯金用口座、投資用口座などと使い分けている人も多いと思います。しかしNISA口座は1人1口座しか持つことができません。

一度どこかの金融機関でNISA口座を開設すると、別の金融機関で口座を開設したくなった時、元の口座は解約しなければならないということです。

そのため、馴染みの金融機関でとりあえず開設しようと考えるのではなく、はじめに慎重に選びましょう。

また、NISAには今回ご紹介している一般NISAのほか、特に少額からの長期・積立・分散投資に適した「つみたてNISA」もありますが、NISA(一般NISA)とつみたてNISAの口座はどちらか一方しか持つことができません。

NISA口座を開設するとつみたてNISAの口座は開設できなくなることにも注意が必要です。

5年後の取り扱いによっては損をすることも

NISAの非課税期間は5年なので、5年以内に利益が出て売ることができれば、本来かかるはずだった税金がかからなくてよかったね、で済みます。

しかし、買った株式の値段が5年後下がっていたなどの理由で売るタイミングではない時はどうすればいいでしょうか。

この場合、翌年の非課税投資枠に資産を移管するロールオーバーと、普通の課税される証券口座に移管する2つのパターンがあります。

【ロールオーバーの場合】
例えば2020年にNISAで買った投資信託の非課税期間は2024年末で終了します。これを同じ金融機関で2025年もNISAを利用する場合、2025年の非課税枠に2020年に買った投資信託を移管することができます。

つまり、実質的に非課税期間を延長できるということです。

【NISA口座ではなく一般の証券口座に移管する場合】
この時は注意が必要です。

証券口座は「利益に税金が発生する」ことは前述しましたが、NISAから資産を移管した場合、その移管した時の値段が利益と損失の基準になります。

例えば、2015年にNISA口座において100万円で買った投資信託が、2020年には60万円に減っていたとします。

この60万円を一般の証券口座に移管した場合、この商品を60万円で買ったのと同じ扱いにされるということです。仮にその後、運用が上手くいって買った時の値段である100万円に戻せたとしても、その状態で売ると60万円からの利益40万円に対し、20.315%の8万1,260円税金がかかってしまいます。

「銀行のNISA口座」と「証券会社のNISA口座」どちらがいい?

結論!NISA口座は証券会社(ネット証券)がおすすめ

前述したように、NISA口座をどこで開設するかはとても重要です。

これまで投資をしたことがなく、証券口座を持っていない人であれば、「身近な銀行でもNISA口座が持てるならそれでいい」と考える人もいるかもしれません。

しかし、結論から言うとNISA口座は証券会社、中でもネット証券で開設するのがおすすめです。

NISA口座は「ネット証券」で開設するのがおすすめな理由

NISA口座を選ぶ際のポイントとしては、

①取引手数料
②商品の種類
③サービス

の3点が大切になります。

このうち、特に①と②について「銀行」と「総合証券」・「ネット証券」を比較してみましょう。

取り引き手数料

銀行 証券会社
総合証券 ネット証券
高い 高い 安い

証券会社には実際の店舗をもつ「総合証券」と、インターネット上の取引が主な「ネット証券」があります。

「銀行」と「総合証券」は店舗を持ち実際に対面で相談できる分、手数料が高めに設定されていることが多いと言えるでしょう。「ネット証券」と比べると1度の取引で数千円の差がつくこともあります。

商品の種類

銀行 証券会社
総合証券 ネット証券
投資信託のみ 株(国内外)、ETF、投資信託、IPOなど

銀行が取り扱える商品は基本的に「投資信託のみ」。本来さまざまな商品が対象となっているNISAの特徴が活かせなくなるのも残念な点です。

このことから、手数料が安く取り扱い商品も豊富なネット証券がNISA口座を開設するには適していると言えるでしょう。

NISA口座を開設するときにチェックしたいポイント

手数料はきちんと確認しよう

株や投資信託を売買する時にかかる手数料は金融機関によってかなり違いがあります。

NISAでは利益にかかる税金が非課税になりますが、場合によっては非課税で得した金額より手数料の方が高くついてしまうことも。

口座を開設する前に手数料はしっかりチェックしておきましょう。

とにかく手数料を低く抑えたいという人は、ネット証券がおすすめです。国内株式取引手数料を無料にしている証券会社も多いですし、ETFや投資信託の手数料もキャッシュバックやポイントで還元するなど、証券会社ごとに特徴があります。

取り扱い商品が豊富だと選択肢が広がる

NISA口座で投資信託を買ってみたいという人は、自分の好みの投資信託があるかあらかじめチェックしておきましょう。

現在日本には公募投資信託だけで6,000本以上の商品がありますので、どこの証券会社もすべての投資信託を扱っているということはなく、取り扱う商品の分野や手数料の体系は大きく異なります。

また、日本国内だけでなく海外の商品の取り扱いも証券会社によって特徴が出ます。そもそも海外の商品を取り扱ってない会社もありますし、対象となる国もさまざまです。

株式を買いたいなら少量から買えることも大きなポイント

投資信託ではなく、「応援したい会社などの個別株を買いたい」という人もいると思います。

普通、株は1株からではなく最小で買える単位が決まっていて、これを単元株といいます。この単元株の単位ですが、昔は10株、100株、1,000株などさまざまでしたが、今は100株に統一されています。

例えばある会社の株価が3,000円とすると、最小の単元株である100株買うには30万円かかります。

しかし、証券会社によってはミニ株やプチ株という形で単元株未満でも買えるところがあります。自身がどのような投資をしたいかによって、これらのサービスの有無も確認しましょう。

NISAではどんな銘柄を選べばいい?チェックポイントを開設

NISAでは選べる商品が多いので、結局どの商品を選べばいいのかわからないという人もいると思います。

NISAの特徴は運用益が非課税になることなので、NISA口座では利益を出すための投資をしたいところです。しかし、一番大切なのは「自分の目的にあった商品」を選ぶことです。

そこで、投資の大きな目的を

①値上がり益を期待する
②分配・配当金を受け取る
③リスクを少なくする

の3つに分けて、それぞれどんな商品が適しているのかをご紹介します。

✔︎値上がりを期待するなら

・株(国内・国外)
- 投資信託全般

✔︎分配・配当金を受け取りたいなら

・国内株
- 毎月分配型投資信託

✔︎リスクを少なくしたいなら

・インデックス型
- バランス型投資信託

これらを参考に、自分がどういう投資をしたいのか、目的を明確にして商品選びをしてみてください。

NISAの口座選びは慎重に行おう

NISAは運用で得た利益に対してかかる税金が非課税になるのが一番のメリットですが、利益を出すためには当然投資に関する知識と商品選びが大切になります。

今回は自分にあった口座の選び方とNISAにおすすめの証券会社を紹介しましたが、まずは自分がどのような投資をしたいのか考えてみることが大切です。その上で、自分に合った商品やサービスがある証券会社を選んでみてください。

松岡紀史
筑波大学経営・政策科学研究科でファイナンスを学ぶ。20代の時1年間滞在したオーストラリアで、収入は少ないながら楽しく暮らす現地の人の生活に感銘を受け、日本にも同様の生活スタイルを広めたいという想いから、 帰国後AFPを取得しライツワードFP事務所を設立。家計改善と生活の質の両立を目指し、無理のない節約やお金のかからない趣味の提案などを行っている。
筑波大学経営・政策科学研究科でファイナンスを学ぶ。20代の時1年間滞在したオーストラリアで、収入は少ないながら楽しく暮らす現地の人の生活に感銘を受け、日本にも同様の生活スタイルを広めたいという想いから、 帰国後AFPを取得しライツワードFP事務所を設立。家計改善と生活の質の両立を目指し、無理のない節約やお金のかからない趣味の提案などを行っている。

【こちらの記事もおすすめ】
ネット証券10社を比較。最も手数料が安いのは?
ネット証券5社を徹底比較 どこがおすすめ?
取引手数料が安い証券会社ランキングTOP3
楽天証券とSBI証券どちらで口座開設する? ネット証券おすすめ一覧