以前は7〜8歳が平均寿命と言われていた室内飼いの猫ですが、最近はキャットフードの栄養バランスの向上や医学の進歩などにより、15歳を超えても元気に過ごすシニア猫が増えてきました。

愛猫に認知症が疑われる行動や、そのような行動が見られた際に飼い主にできることとは? 詳しく解説します。

1.猫の認知症が疑われる行動とは?

飼い猫の様子がいつもと違う、変わった行動をしている場合には、認知症であることも疑われます。
具体的にはどのような行動が見られるようになるか、いくつかのケースを紹介します。

行動1 隙間に挟まる

隙間に挟まるようになったり、物をうまくよけることができなくなったりします。
その他、壁や床、空中など、何もないところをぼんやり見つめる、今まで名前を呼べば反応していた飼い猫が全く反応しなくなった、好きなおもちゃを見せても興味を示さなくなったなどの変化が見られる場合もあります。

行動2 反応や性格の変化

穏やかだった猫が急に攻撃的になった、イライラして物を壊すようになった、可愛がられたり、撫でられたりすることへの興味が減ったなど、これまでの反応や性格に変化が見える場合もあります。

行動3 夜泣き

夜中にウロウロと歩く、落ち着きがないといった様子が見られる他、今まで鳴くことがほとんどなかった飼い猫が、急に大きな声で鳴く、夜泣きをするようになるなどといった変化が見られる場合があります。多くの場合、年を重ねるに従い、鳴き声は大きくなっていきます。

行動4 トイレの失敗

トイレではない場所で粗相をするなど、トイレまわりの失敗が増えるケースがあります。

行動5 徘徊活動の増加

無目的な歩行や徘徊行動が見られるようになるほか、注意散漫になり、これまでのように愛猫の気を惹くことが難しくなったり、飼い主さんや家族、おもちゃと遊ぶ頻度が減ったりする場合があります。

行動6 不安・怖がる

飼い主さんが離れた際の不安が増えたり、例えば救急車の音などの聴覚刺激、部屋から見える外の風景などの視覚刺激に敏感になり怖がるようになったりする場合があります。

2.認知症かなと感じた時に飼い主がとるべき行動

【獣医師監修】ネコに認知症はある?疑われる行動や飼い主の対応方法を解説
(画像=『犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)』より引用)

飼い猫の様子や行動に変化が見られたとき、「高齢だし、認知症かな」などといった自己判断で、飼い猫の変化を故意に見逃さないようにしましょう。様子や行動の変化には、重大な病気が隠れている可能性もあるためです。

例えば、異常な食欲が見られる場合、甲状腺機能亢進症や糖尿病などの病気が隠れていることがありますし、トイレの失敗がつづく場合には、膀胱炎や運動器疾患の可能性も。
そのほか、夜泣きがつづく場合や性格の変化が見られる場合にも、別の病気が隠れていることがあります。

飼い猫に様子の変化が見られたときには、まずかかりつけの動物病院に相談してみることをお勧めします。
動物病院では、まず症状に応じて甲状腺や腎臓などを検査し異状が認められない場合に認知症の可能性が出てきます。

3.動物病院で行う検査方法は?

猫の認知症については、まだ詳しいことが分かっておらず、直接「認知症」と診断するための検査方法や判断基準は確立されていないのが現状です。

症状から疑われる病気が隠れていないかどうか、すべての可能性をつぶしていった結果、異状が見られなかった場合に「認知症」が疑われます。

脳腫瘍が疑われる場合などには、全身麻酔を用いたMRI検査やCT検査を獣医師から提案されることもあります。この場合には、全身麻酔のリスクや費用面などの説明を受けた上で、よく相談してから実施するか判断しましょう。