確定申告は現在生きている人が行う所得税の申告ですが、年度の途中で亡くなった人についても、親族などの相続人による「準確定申告」が必要となる場合があります。

準確定申告を行う必要がある故人

準確定申告を行う必要がある故人は死亡時点で以下に該当する人です。

・事業所得が48万円以上
・株取引や不動産運用による所得が48万円以上
・給与収入が2,000万円を超える
・源泉徴収されない退職所得がある
・給与を2ヵ所以上から受けていた
・年金収入が400万円を超える
・公的年金等による雑所得以外の所得が20万円を超える
など

なお、故人の年収が400万円以下の年金だけの場合は準確定申告を行う必要はありません。

準確定申告手続きの概要

次は、準確定申告の手続きについて見ていきましょう。

申告期限

相続の開始を知った日の翌日から4ヵ月以内です。  

申告書の提出先

故人の住所地の所轄税務署に提出します。

申告する人

相続人全員です。相続人が2人以上の場合は、原則として各相続人が連署した上で準確定申告書を提出する必要があります。

提出書類

準確定申告の提出書類は以下の通りです。

・所得税及び復興特別所得税の準確定申告書
・死亡した者の令和〇年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表
・準確定申告の確認書
・委任状

期限までに準確定申告をしないとどうなる?

申告期限までに準確定申告を行わないと、確定申告と同じく「無申告加算税」および「延滞税」が課されます。

無申告加算税(加算税)

相続の開始を知ってから4ヵ月以内に準確定申告を行わないと、本来の納税額に加算税がプラスされる場合があります。

加算税は本来の納税額(以下・納税額)に応じて計算します。

50万円まで:納税額×15%
50万円を超えた部分:納税額×20%

延滞税

準確定申告で確定した納税額を法定納期限までに納付しない場合は、その翌日から納付日までの日数に応じた延滞税が加算されます。

なお、準確定申告が遅れた場合、申告書の提出日が納付期限となります。それを超えると無申告加算税と延滞税の両方が加算される場合があります。

そのようなことにならないためにも、準確定申告の申告期限と納付期限は厳守しましょう。

文・大岩楓
元銀行員ライター。預金・為替業務に長く携わった経験をもとに、節約などの記事を多数執筆。現在はジャンルを広げて教育系の資格を生かした記事まで幅広く執筆。

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