ギフテッドの診断方法
ここからは、より具体的に「ギフテッドの診断方法」について掘り下げていきます。
IQテスト
ギフテッドかどうか判断する際、「IQ数値」は大きな判断基準とされています。
そもそもIQ値とは、人間の知能レベルを数値化して表したもの。
言語能力や問題解決能力を中心に測定されることに用いられます。
IQ数値の目安は以下のように扱われています。
IQ90〜109は平均
IQ110〜119 平均より上
IQ120~129 優秀
IQ130以上 極めて優秀
出典:『ギフテッド(+発達障害)ってなに? : 10才からのGTサバイバルガイド』
TV番組では「この問題が解ければIQ〇〇!」というように使用されますよね。
あれは、「あなたの知能はこのレベルです!」と表現していることになります。
IQの平均値が「100前後」だとすると、IQ130を超える場合「ギフテッド」である可能性が高いと言われています。
しかしながら、IQテストもあくまで判断基準の一つ。
『わが子がギフテッドかもしれないと思ったら』という著書の中には、
『知能指数は全体像の一部だけを映し出したものだ。ギフテッドであるということは、知能指数で示される以上の意味をもつ。』と記されています。
出典:『わが子がギフテッドかもしれないと思ったら』
つまり、IQが130を超えるからと言って、必ずしもギフテッドであるとは言い切れません。
IQはギフテッドの判断基準としても使われますが、子供にあった教育を決定するために用いられることもあります。
知能検査WISC-IV(ウィスク・フォー)
「WISC-IV ウェクスラー式知能検査」とは、世界的に使用されている子供の知能指数を測定する検査のこと。
日本でも一般的に行われ、5歳〜16歳11ヶ月までが検査対象とされています。
WISC-IVは、全検査IQテストの他に
・言語理解(言葉の知識や言語を用いた推理力や思考力の診断)
・知覚推理(積み木やパズルなどを用いた、視覚的情報を推理する力の診断)
・ワーキングメモリ(情報を記録し、処理する能力の診断)
・処理速度(情報処理するスピードを診断)
の4つの科目を検査します。
WISC-IV検査の最大のメリットは、「得意分野」と「苦手分野」の凹凸を数値化できること。
つまり、全てのテストで高スコアを出せば「ギフテッド」と判断されるわけではありません。
全検査IQテストで、「120」というスコアだったとしても、「言語理解」または「知覚推理」が130以上であれば、「ギフテッド」と診断されるケースもあります。
得意・不得意を数値化することで、児童の特性を見極められ、適切な支援内容を知ることができます。
QEEG検査(定量的脳波検査)
QEEG検査とは、脳波検査の一つ。
検査対象は、3歳1ヶ月の子供から大人まで幅広い世代が検査可能です。
QEEG検査は、脳状態を可視化することで、どの部位が平均よりも活性化しているか診断できます。
脳波は4種類に分けられます。
・デルタ波(ノンレム睡眠時に見られる)
・シータ波(夢を見ている時、レム睡眠時に見られる)
・アルファ波(安静、覚醒した時、ぼーっとした時に見られる)
・ベータ波(物事を考えている時に見られる)
出典:BRAIN CLINIC
QEEG検査では、これら脳波の特徴や変化、脳の情報処理量を可視化・解析できます。
脳波の特性と医師の問診をふまえ、ギフテッドの程度を診断できるものです。
検査によって、児童にあった薬や治療提案が可能になります。
ギフテッドはどこで診断できる?
ギフテッド診断を日本で行う場合、どこで診断できるのでしょうか。
3つの診断場所を紹介します。
①専門の医療機関
まずは、「精神科クリニック」もしくは「児童精神科」の診療科目を構える専門の医療機関を訪ねてみるのがおすすめです。
医師の問診に加え検査を行い総合的な判断から、明確な診断を受けることができます。
医師による診断が出るので、安心できますよね。
②市町村の教育センター
市町村ごとに、設置されている教育支援センター。
今後どういった支援が必要なのか、相談員や理学療法士等に相談ができます。
場合によっては、教育センターで「WISC-IV検査」の実施も可能です。
ただし、教育支援センターはあくまでも検査結果をもとに「児童にとって適切な学びの場を支援する」ことが目的。
公的な支援が受けられるのは大きなメリットですが、医師からの診断は受けられないので注意が必要です。
出典:神奈川県横浜市「横浜市特別支援教育総合センター」
出典:東京武蔵野市「就学相談に関するよくある質問」
③大学
各大学に設置されている「心理相談センター」でも、WISC検査を受けることができます。
様々な大学で検査を実施していることから、検査実施までスムーズに進められることも!
「病院への通院や、出入りを周りに見られたくない」
「でも検査はしてみたい」
そんな風に考える方に、大学利用はおすすめです。
ただし、教育支援センターと同様医師の診断がでるわけではないため、注意が必要です。
出典:神奈川大学