昔母が三才違いの弟の出産のため、母方の実家に預けられていたことがありました。放任主義の母の元で育てられていた私は、祖母にとっては野生児に映ったのでしょう。神経質な祖母はこの機会にしっかり私の教育をしようとまずは正座(長崎ではおひざと言いました)をするようにしつけました。

落ち着きがなく、口だけ達者な私に手を焼いた祖母は「悪かことしたら夜声はっちょうに食わせるぞ。夜声はっちょうはあんたのごと言うこと聞かん子を食べにくるとたい」と言いながら私の手をとって縁側まで連れて行き、暗く広がる竹藪を指さすのです。

子供心に「夜声はっちょう」は想像するだけで震えあがるぼど脅威の存在でした。ずっと大人になってそれは祖母の作りだした架空のお化けで、「夜出す声は八丁先まで届く」という意味だと知りました。

私はこの物語を30代の時にシナリオにしたことがあります。最初にシナリオで賞をいただいたのもこの作品です。ただ私の中ではこの作品はまだ未完成で、いまだに心残りです。いつか一つの物語として完成させたい。シナリオ勉強中に起業して、物語を書くことからずっと遠ざかっていました。ただ今年節目の年なので、少し書き出そうかと思っています。

架空のお化け「夜声はっちょう」
(画像=『HiCareer』より引用)

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