税金なしで運用できるNISA(ニーサ) は、後からスタートした「つみたてNISA」 と区別され、近年では「一般NISA」 とも呼ばれています。

NISAでは株式か投資信託のどちらかへ投資できますが、特に投資信託と相性が良い といわれており人気があります。

ここでは、NISAと投資信託の仕組みやメリットについて基礎からわかりやすく解説していきます。なお、本記事でNISAはすべて「一般NISA」と読み替えてください。

NISAと投資信託の基礎知識

まずはNISAと投資信託の基礎知識から確認します。次章から「なぜNISAで投資信託がおすすめなのか」解説しますので、その前に知識を整理しておきましょう。

NISAってどういう制度?

NISAは年間120万円まで非課税で投資できる制度 です。通常は利益に約2割の税金がかけられてしまうため、手取りが減ってしまいます。

【例:10万円の利益を得た場合の手取り】
・通常:約8万円
・NISA:10万円

NISAを利用すれば税金なしで運用できますから、効率の良い資産形成ができます。なお、この制度を使うためには、通常の口座とは別に専用のNISA口座を開設する必要があります。

【NISAの概要】

非課税になるもの ・値上がり益
・株式の配当金、投資信託の分配金
非課税になる期間 買った年から5年間
投資できる金額 1年間に120万円が上限
投資できる期間 2023年まで

出典元:金融庁 NISAの概要
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa/overview/index.html

【NISAは銀行か証券会社で】
NISA専用の口座は銀行か証券会社で開設できます。投資信託はどちらでも買えますが、株式にも投資したい場合は証券会社で開設しましょう。若山卓也(ファイナンシャルプランナー)

投資信託ってどういう商品?

投資信託は、株式など複数のリスク資産を1つにまとめた商品です。1つの銘柄に集中投資せず、分散投資されているという特徴があります。

一般的に、分散投資することでリスクを下げることができます。比較的小さなリスクで運用できるので、これから投資を始める初心者の方にもおすすめです。

出典元:投資信託協会 そもそも投資信託とは?
https://www.toushin.or.jp/investmenttrust/

【株式or投資信託に投資できる】
NISAで投資できる商品は「株式」か「投資信託」の2種類あります。本記事では基本的に投資信託をおすすめしますが、記事の後半では「NISAで投資信託より株式を買ったほうがよい方」もご紹介します。若山卓也(ファイナンシャルプランナー)

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NISAで投資信託をおすすめする3つの理由

NISAでは株式か投資信託に投資できますが、本記事では以下の理由から投資信託をおすすめします。

【NISAで投資信託をおすすめする3つの理由】
1. 非課税枠を使いやすい
2. 個別の株式よりリスクが下がりやすい
3. 分配金も自動で非課税

それぞれ解説します。

1.NISAの非課税枠を使いやすい

投資信託ならNISAの非課税枠を使いやすい点が最初のおすすめポイントです。

NISAでは年間120万円まで投資できますが、株式だと使い切ることが難しいです。120万円を使い切るには、120万円をちょうど割り切れる株価でなければならず、株価に端数があってはいけないためです。

ちょうどよい株価で買えればよいのですが、大半の株価は10円、1円単位で値動きしています。ぴったり120万円で買うことは難しいでしょう。

投資信託なら買いたい金額で買えるだけ買うという注文ができます。これを「金額指定」といいます。これなら120万円の枠を使い切りやすいですよね。投資信託とNISAの相性がいい1つの理由です。

2.個別の株式よりリスクが下がりやすい

比較的リスクが小さい点も、NISAで投資信託をおすすめする理由です。

上述の通り、分散投資している投資信託は、個別の株式よりもリスクが小さくなりやすいです。そもそも利益がなければ税金はかかりません。NISAでは損をしてしまうと非課税の意味がなくなってしまうのです。

投資信託なら分散投資されているためリスクが小さくなる傾向があります。絶対に損をしないというわけではありませんが、小さいリスクのほうが損の可能性は小さくなるでしょう。

【卵は1つのカゴに盛るな】
特定の会社の株式だけを購入した場合、万が一破綻してしまうと大きな損失になります。しかし、投資信託なら数十社の株式に投資しているので、仮に1社が経営破綻しても影響を小さくできます。

株式相場の格言に「卵は1つのカゴに盛るな」というものがあります。投資を分散させることでリスクも分散できるといった意味ですが、まさにこのことを示しています。若山卓也(ファイナンシャルプランナー)

3.分配金も自動的に非課税

投資信託は「分配金」を受け取れることがありますが、NISAなら自動的に非課税で受け取れます。

一方、株式も「配当金」を受け取れることがありますが、この場合はNISAであっても「株式比例配分方式」を指定しない限り税金が取られてしまいます。

手続きすれば問題ないのですが、初心者にはわかりにくいかもしれません。投資信託なら手続き不要で非課税となるので、不慣れな方でも安心です。

NISAでおすすめの投資信託

これまで解説した理由から、NISAでは投資信託をおすすめします。

しかし、投資信託といってもたくさんの種類があり、その数は5,890本にも上ります(2021年3月時点)。どうやって選べばよいのでしょうか。

ここからは、NISAで特におすすめの投資信託をご紹介します。

バランス型投資信託

さまざまな資産へ投資し、より分散投資を強めているのが「バランス型投資信託」です。投資信託は主に以下のような資産に投資しており、バランス型投資信託はそれらに幅広く投資しています。

【投資信託の主な投資対象と、リスク・リターンの関係】
・株式:ハイリスク&ハイリターン
・債券:ローリスク&ローリターン
・不動産:ミドルリスク&ミドルリターン
※リスク・リターンは一般的なもの。ほかに金や原油などに投資するものも

また、投資する地域もさまざまで、以下のような関係があります。

【投資信託の主な投資地域と、リスク・リターンの関係】
・新興国:ハイリスク&ハイリターン
・国内(日本):ローリスク&ローリターン
・先進国:ミドルリスク&ミドルリターン
※リスク・リターンは一般的なもの

これらをまとめると、「新興国株式」が最もリスクが大きく、「国内債券」が最もリスクが小さくなります。

バランス型投資信託は、これらに幅広く投資しています。分散投資の効果が高いため、よりリスクを抑えた運用が期待でき、おすすめです。

【投資対象は「目論見書」でチェック】
投資信託には必ず「目論見書」が付いています。これは取り扱い説明書のようなもので、どのような運用を行うのか把握できるようになっています。また、運用状況を報告するレポートでも確認できます。

バランス型投資信託は資産の組み合わせが無限にあり、それによってリスクも異なります。必ず事前に目論見書やレポートで資産の組み合わせを確認しましょう。なお、一般的に債券の比率が高いほどリスクが下がります。若山卓也(ファイナンシャルプランナー)

先進国株式型の投資信託

バランス型ではない投資信託は、株式だけ・債券だけのように、1つの資産へ投資しています。このタイプでも、複数の銘柄に投資しているので分散投資は働いています。

株式だけの投資信託もNISAではおすすめです。特に先進国の株式は長期に上昇を続けており高いリターンを実現してきました。

バランス型よりリスクは高くなり、また海外への投資は為替のリスクもありますが、より高いリターンを求める方には選択肢になるでしょう。

【直近10年で平均+13.34%】
代表的な先進国の株価指数「MSCIコクサイ(日本円)」は、過去10年間の平均リターンは年13.34%でした(2021年3月末時点)。複利で考えると10年間で約3.5倍になった計算です。

もちろん下がった年もあります。2008年は1年間で52.9%も値下がりしました。直近でも2018年はマイナス(▲10.7%)です。リスクについてもしっかり理解しておきましょう。若山卓也(ファイナンシャルプランナー)

NISAで投資信託より株式を買ったほうがよい方

ここまで、NISAでは投資信託をおすすめしてきましたが、もちろん株式を買ったほうがよい方もいらっしゃいます。

どのような方が投資信託ではなく株式を買ったほうがよいのか、簡単に解説します。

1.リスクを取っても大きなリターンを追求したい方

投資信託は分散投資によりリスクが下がりますが、その分リターンが下がることは避けられません。より積極的にリターンを追及したいなら個別の株式を選択した方がよいかもしれません。

例えば、2021年3月はひと月で1.5倍以上になった株式が14銘柄ありました。このように、個別の株式には投資信託では得られないようなリターンの可能性があるのです。

もちろん株式はリスクも大きいです。同じときに20%以上値下がりした銘柄も19銘柄ありました。また、2020年中に経営破綻で上場廃止となった銘柄も2社あります。

【2020年に経営破綻で上場廃止となった株式】
・レナウン(民事再生手続き開始で6月に上場廃止)
・Nuts(破産手続き開始で10月に上場廃止)

NISAに限りませんが、リターンを追求するなら、その分のリスクを抱えるということは肝に命じておきましょう。もちろん、リスクが取れるという方でも、余裕資金で運用するなどの工夫が望ましいですね。

2.投資信託の運用コストに不満がある方

リスクとリターン以外に、コストに対する強いニーズがある方も投資信託より個別の株式の方がいいかもしれません。

投資信託には運用中のコスト「信託報酬」がかかります。個別の株式にはないコストなので、「運用中のコストは負担したくない!」という方は個別の株式を選択するとよいでしょう。

【投資信託でもインデックスファンドなら安い】
投資信託の中でも運用コストが安いタイプが「インデックスファンド」です。全体的に安いですが、特に安いものだと年0.1%未満のものもあります。

インデックスファンドは、日経平均のような指標(=インデックス)に連動するよう運用される投資信託です。機械的な運用が可能なので、安いコストで運用できる点が強みです。若山卓也(ファイナンシャルプランナー)

積極的投資ならNISAで株式も選択肢に

120万円の非課税投資枠を使い切りやすい点や、分散投資でリスクが低くなるというポイントから、NISAと投資信託の相性はよいと考えられます。

しかし、リターンをより追求する方であれば個別の株式を選択してもよいでしょう。大きな利益が出れば非課税の恩恵も大きく感じられるでしょうし、NISAを上手に活用しているといえます。

NISAは2023年までの期間限定の制度です。せっかくの制度ですから有効活用し、資産運用に役立ててください。

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若山卓也
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業、保険募集代理業、金融系ライターとして活動しています。 関心のあるジャンルは資産運用や保険、またお得なポイントサービスなど。お金にまつわることなら幅広くカバーし、発信しています。 AFP、プライベートバンキング・コーディネーター資格保有
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業、保険募集代理業、金融系ライターとして活動しています。 関心のあるジャンルは資産運用や保険、またお得なポイントサービスなど。お金にまつわることなら幅広くカバーし、発信しています。 AFP、プライベートバンキング・コーディネーター資格保有
 

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