韓国酒の伝道師として魅力をアピール
村岡:伝統酒ソムリエとしては、まだあまり知られていない伝統酒の存在と魅力を知っていただく活動を行なっています。最近では10月最終木曜の「マッコリの日」を記念し、仁寺洞(インサドン)で行なわれた「マッコリフェスティバル2014」に参加いたしました。農林部や(社)韓国マッコリ協会からの支援もあり、マッコリソムリエ体験教室の専用ブースで新米マッコリの試飲会や利き酒会を実施した他、伝統酒の魅力についての講演をさせていただきました。
素麹酒の造り手、ウ・ヒヨルさん(大韓民国食品名人)
太田:以前は焼酎と聞くと一般に流通している緑色の瓶を想像し、味に苦手意識がありました。ところが蔵元巡りをしてみて、同じ焼酎でも多彩な種類があること、そして実際に造り手から話を伺い、お酒が醸されている場を目の当たりにすると、見違えるように美味しく感じられることに驚きました。
村岡:蔵元で飲むお酒は格別ですよ。最初少し強いかなと思っても、見学後に実際醸していらっしゃる蔵元の社長様と改めて酌み交わすお酒は、本当に魔法にかかったようにまろやかです。
「マッコリにパジョン」の公式が当てはまらない?!
村岡:私自身がお酒が好きということもあり、日本ではお酒に合う料理を中心に研究していたのですが、韓国に来てからもお酒と料理の相性には関心がありました。韓国では一般に「マッコリにはパジョン(ネギチヂミ)が合う」と言われますよね?でも必ずしもそうではないんですよ。日本に地酒があるように韓国にも地マッコリがありますが、蔵元に行きその土地の郷土料理といただくと、また格別な一体感を味わうことができます。
太田:お酒の基本は「水」ですので、その土地の水で作られたお酒には、地域の名産を用いた郷土料理や昔から食べられてきた伝統料理が一番合います。
村岡:素麹酒(ソゴッチュ)が造られる舒川(ソチョン)という地域は海の近くなのですが、そこでいただいた素麹酒とアンコウ鍋は格別なお味でした。
太田:食事との相性がとても良く、お酒も進んで私たちのテーブルだけ素麹酒が次から次へと空き瓶になっていきました(笑)。
村岡:「水が合う」という言葉がありますが、まさにお酒と料理の相性もその一言に尽きます。生まれ育った土地の材料で作られた料理が一番口に合うように、お酒もその地域の料理といただいてこそ本来の味を楽しむことができると思うのです。