職場で上司や先輩からなどから受けるパワハラは、今や大きな社会問題となっています。パワハラについて誰にも相談できないまま心身を病み、会社に行けなくなってしまう     場合もあります。しかし、どんな行為がパワハラにあたり、どう対処すればよいかわからない人も多いでしょう。そこで、今回はパワハラの定義やパワハラに遭った場合の対策について解説。パワハラの相談窓口についてもお伝えします。

パワハラとは?どんな行為がパワハラにあたる?

(写真=PIXTA)

パワハラの定義

パワハラは「パワーハラスメント」の略語で、通常は職場の人間関係で上の立場にある人(上司や先輩など)が下の立場の人(部下や後輩など)を攻撃するような行為を指します。

厚生労働省の「職場のパワーハラスメント防止対策に関する検討会報告書」によれば、次の3つの要素の全てを満たす場合にパワハラであると定義づけています。

  1. 上司と部下の関係など、優位性を背景として行われる行為
  2. 業務の適正な範囲を超えて行われる行為
  3. 身体的または精神的な苦痛を与えたり、就業環境を害したりする行為 このようなパワハラにより、職場環境の悪化や全体の業務に支障が生じるなどの弊害が出ています。

    パワハラの具体例

    パワハラは、大きく分けて6つの種類があります。

1.身体的な攻撃
例:叩く、殴る、蹴る

2.精神的な攻撃
例:他の職員の前で怒鳴る、メールで罵倒する、執拗に叱責する

3.人間関係からの切り離し例:1人だけ孤立させる、強制的に自宅待機を命じる

4.過大な要求
例:本人の能力を大きく超える仕事を命じる、勤務時間内に処理しきれない量の仕事を命じる

5.過小な要求
例:本来の業務からかけ離れた雑用だけをさせる

6.個の侵害
例:相手のプライベートを執拗に探る、     相手の人格を否定する言葉をぶつける

これらのパワハラ行為を受けた多くの人は勤労意欲を失い、場合によっては心身の健康を損なう恐れがあります。そうなる前に、これから説明する4つのパワハラ対策を実行しましょう。

パワハラ対策(1)パワハラの内容を記録して証拠を残す

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自分がパワハラに遭っていると気づいたら、パワハラから心身を守るための対策を取る必要があります。中でも、もっとも重要なのが「証拠を残す」ことです。

手書きやスマホのメモ、録音、日記、メール、LINE、SNSなどに、「いつ」「どこで」「誰に」「なぜ」「何をされた」という形でパワハラの情報を記録しておきましょう。また、暴力や精神的攻撃により病院を受診した場合は、医師に診断書の発行を依頼しましょう。それがパワハラの動かぬ証拠となりえます。

パワハラ対策(2)周囲に相談する

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パワハラを受けた人は、誰にも相談せず一人で悩みがちです。しかし、「おかしい」と思ったらそれはパワハラの可能性大。一人で問題を抱えてしまうとますます状況が悪化する恐れがあります。

まずは早い段階で周囲の人にその旨を伝え、対応についてのアドバイスを仰ぎましょう。その際は前述した「証拠」も用意しておけば、より正確なパワハラの状況を伝えられます。

できれば最初に同僚や別の上司に相談するのが理想です。その方が早期で問題解決に向かう可能性が高いでしょう。しかし、状況的に難しい場合は家族や友人などに相談し、今後の対応について考えることをおすすめします。

パワハラ対策(3)会社の相談窓口に相談する

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人事部、社内相談窓口、産業医、産業カウンセラー、企業労働組合など、会社内の相談窓口に相談する方法もあります。

まともな会社なら、従業員からパワハラについての相談を受けた際に相談者のプライバシーに最大限の配慮を払います。その場合は証拠になるものを持参した上で相談するとよいでしょう。

しかし、会社に相談してもらちがあかない、会社が相談者のプライバシーを守らない、パワハラを隠蔽するなどの動きがある場合は、後述する「外部に相談する」ことを考えましょう。

パワハラ対策(4)外部に相談する

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1~4の対策を講じてもパワハラがやまない、周囲の理解を得られないなどの困った状態に陥った場合は、公的機関など外部に相談することも検討しましょう。

パワハラの相談に応じてくれる主な公的機関には、以下のものがあります。

(写真=PIXTA)

職場で上下関係を盾に攻撃を行うパワハラは、労働者の心身の健康を損ねるなどの深刻な影響があります。一人で悩まず、周囲の人や公的機関などに相談するのが一番です。まずパワハラの証拠を形として残した上で、できるだけ早く相談することをおすすめします。

文・大岩楓

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