高齢化が進み、一人住まいや夫婦だけで暮らす高齢者世帯が増えています。そうした中、高齢者が安定した暮らしを続けていくことができるように政府が力を入れたことから、介護施設や老人ホームが増えてきました。どんな種類があるのか、どのような仕組みになっているのか、どのようなサービスが受けられるのかなどを知っておきましょう。それぞれの特徴を比較しながら解説します。
入れる介護施設を介護度で種類分けしました
設備や受けられるサービスは、介護施設の種類によって異なります。そのため、介護度によって入居できる施設を検討する必要があります。
今回は、介護度が最も重い要介護5の人を受け入れることができる施設と、生活援助サービスなどの自立支援や軽度の介護度の人が入居できる施設を紹介します。
重い介護度の人が入居できる施設
民間の介護施設
介護付有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付高齢者住宅、通所介護(デイサービス)、通所リハビリテーション、地域密着型通所介護、療養通所介護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、グループホーム
公的な介護施設
特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院、ケアハウス
短期入所生活介護(ショートステイ)、短期入所療養介護
小規模多機能型居宅介護は、利用者が選択して、施設への通いや短期間の宿泊、自宅への訪問などを組み合わせ、日常生活の支援や機能訓練を行うサービスです。
特別養護老人ホームは、原則要介護3以上の人が入居できる施設です。入居を希望する人が多く、入居できるまでに期間がかかります。
軽度の介護度の人が入居できる施設
民間の介護施設
サービス付き高齢者住宅、高齢者向け優良賃貸住宅、シニア向け分譲マンション、通所介護、通所リハビリテーション、地域密着型通所介護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護
公的な介護施設
軽費老人ホーム、ケアハウス、短期入所生活介護、短期入所療養介護
認知症の受け入れが可能なのはどこ?
認知症は脳の障害で、進行すると日常生活を送ることが難しくなります。介護をする期間が長くなってくると家族の負担が大きくなりますので、介護施設の利用を検討しましょう。
また、認知症の場合は、認知症の人への対応が可能な通所介護の施設や、特別養護老人ホームなどのショートステイを利用することが可能です。認知症の人が入居できるのは以下の施設になります。
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 介護療養型医療施設
- 介護医療院
- グループホーム
- 有料老人ホーム
- サービス付高齢者向け住宅
- 短期入所生活介護
短期入所療養介護 グループホームで受けられるサービスは、認知症の利用者を対象にした専門的なケアです。5~9人の少人数の利用者がスタッフと一緒に、食事や入浴など日常生活を送りながら機能訓練を行います。
介護施設の情報を集め、選ぶには時間がかかりますので、早めに取りかかりましょう。ケアマネージャーは、近隣にどのような施設があるか、空き状況はどうかなど把握していますので、まずは相談することが大切です。
インターネットネットを使って広い範囲で探し、パンフレットを取り寄せて検討するのも大切です。介護施設では見学を受け入れていますので、いくつかの介護施設を本人と一緒に訪問し実際に見て施設職員の話を聞くと、選ぶ時に役立ちます。
公的な施設と民間施設の大きな違いは?
公的な施設と民間施設の大きな違いは何でしょうか。
公的な施設は、入居時点で介護サービスを必要としている人でなければ入居することができない施設であるということです。
2011年10月に「高齢者の居住の安定確保に関する法律」の一部を改正する法律が施行され、サービス付高齢者住宅の登録制度が創設されました。登録基準が整えられ、高齢者が安心して長く入居できるようになったのです。
公的な施設の場合は、事業所の設置者は地方公共団体、医療法人、社会福祉法人、その他法令で指定された団体に限られています。民間施設は原則として制限はありませんが、介護保険の事業者として指定を受けた事業所のみ介護事業を行っています。
民間施設であれば介護を必要としていない人でも入居できる施設があります。自分のライフスタイルに合わせて住まいを選ぶ選択肢が広くなってきたといえるでしょう。
介護施設の種類は5つのポイントで考える
これまで紹介してきました、介護施設を選ぶ時のポイントを整理してみました。
① 日常生活を支援するレベルの軽い介護度の人も入居できる施設か。
② 入居できる要介護の基準はどの程度か。
③ 公的な介護施設か。
④ 民間で介護保険法に基づいて運営されている事業所・介護施設か。
⑤ 認知症の人の受け入れが可能か
介護施設の利用を考える時はこの5つのポイントをチェックして、どこが自分や家族にとって最も適しているかを絞り込んで、後悔のない施設選びの参考になさってください。
文・藤原洋子(ファイナンシャル・プランナー)
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